(第41回)職がある者は守られ 若年者が負担を負う

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現在の日本で、雇用面で最も厳しい状況に直面しているのがこの地域だ。この地域の地方都市を訪れると、自動車部品工場の生産減や廃業で、地域経済が疲弊している様に驚かされる。

雇用調整助成金制度では、休業手当又は賃金相当額の3分の2(一定の要件を満たしている場合には、4分の3)が支給される。支給限度日数は、3年間で300日だ。2008年12月に創設された「中小企業緊急雇用安定助成金」では、休業手当又は賃金相当額の5分の4が支給される。一定の要件を満たしている場合には、助成率が10分の9になる。つまり、事実上、休業手当のほとんど全額を補助してもらえるわけだ。

雇用調整助成金の原型となる制度は、第1次オイルショック後の1975年に創設された。リーマンショック後の08年12月に条件が大幅に緩和されたため、申請が一挙に増えた。

09年3月から8月の期間には、対象者が200万人を超えた。その当時の完全失業者が300万~360万人程度だったことと比べると、いかに大きな数字かが分かる。雇用調整助成金がなければ、その当時の失業率は、9%程度になっていたはずなのである。12年1月の対象者数は83万人であり、一時に比べて減少したことは事実だ。しかし、現在の失業者数300万人に比べて無視できない数だ。

若年者の失業率は平均の2倍

産業構造が変わるとき、大変なのは高齢者だ。新しい仕事に簡単に変わることはできないからだ。

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