(第41回)職がある者は守られ 若年者が負担を負う

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しかし、彼らが犠牲になってきたわけでは必ずしもない。むしろ、彼らは守られる場合のほうが多い。右で見た雇用調整助成金は、その典型的な例だ。

日本の場合には、もともとの雇用制度が、在職者を守る役割をしている。文字通りの「終身雇用制」でないとはいえ、従業員を解雇するのは、法律的にも慣習的にも厳しい。大量の人員整理を行えば、社会的批判にさらされる。したがって、いったん雇用されると、一定の年齢に達するまでは、簡単には解雇されない。特に大企業の場合にはそうだ。だから、企業の人員調整は、自然減で行わざるをえない。

その結果、若年者が雇用されなくなる。純粋に能力面だけで比較すれば、組織内にいる中高年者を整理して若年者を雇ったほうが望ましいにもかかわらず、それができない。つまり、調整のコストを負うのは、若年者である。このことは、年齢別の失業率を見ると、明らかだ。12年1月の失業率は、15~24歳が8・5%であり、総数の失業率4・5%の倍近い数字になっている。

実は、アメリカの場合も同じである。20~24歳層は、15%程度だ。多くの国で、若年層の失業率は、全般的な失業率の2倍前後の値になっている。

こうなるのは、中高齢者の雇用が守られているからだ。アメリカでは、「先任権に基づくレイオフ(一時帰休)制度」がある。これは、レイオフが実施される場合、その企業における勤続年数が短い者からレイオフされる制度だ。再雇用される場合には、勤続年数が長い者から再雇用される。

これは、30年代に労働組合運動が盛んになったとき、重化学工業を中心に急速に広まった制度だ。現在では,全米の製造業における労働協約の9割以上が先任権の規定を持っている。

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