名探偵シャーロック・ホームズは“メンタルの振れ幅が激しい”、相棒ワトソンは”酒好きな元軍医” 「有名コンビ」の意外に知らない人物像

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17世紀のイギリスの詩人、エイブラハム・カウリーは次のような詩を残しているが、きっとホームズも心からうなずいたにちがいない。

知人と呼ぶ人はいるが、それは数ではなく
どんな顔ぶれかによって決まる。

冷静沈着「ではない」ホームズの人物像

ホームズといえば、昔から傲慢で、非社交的かつ冷徹な男だと言われてきた。

これはまったくの言いがかりではない。忠実なワトソンでさえ、ひどく腹を立てたときには、ホームズのことを「血の通っていない秀才、卓越した知性を持ちながらも義理人情に欠けている」と描写している。とはいえ、冷静になれば「これほど賢くすばらしい人物には出会ったことがない」と称賛しているが。

実際のところは、どちらも不本意ながら当てはまる。平凡な日常生活においては、ホームズは退屈するあまり、よそよそしい、無関心、冷淡だと見られることもあった。興奮や非日常、みずからの特殊な思考でしか解決できないような問題をたえず求める性格がアダになったのだ。

「わかっているよ、ワトソン」と、ホームズは『赤毛組合』で言っている。「きみも、奇妙で日常生活のしきたりや単調な習慣からはずれたものが大好きなんだろう」。

ありふれた世界から抜け出したいという欲求から、ホームズは困難にもひるまず突き進んだり、危険に飛びこんだり、ときにはひどいうつ状態に陥ったりする。

だが、これだけは言える。

この名探偵は捜査に全身全霊を注ぎ、凶悪な犯人を打ち負かすためには身の危険も顧みなかった。おかげで何度も危ない目に遭いながらも、頭脳戦や心臓が止まるような興奮を求める心は満たされたわけだ。

『ボスコム谷の惨劇』では、ホームズが犯人を追跡するスリルに取りつかれる様子がみごとに描かれている。

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