専門家が「子どもでもわかる」ように解説! ロシアによるウクライナ侵攻の背景にある"冷戦時代"の記憶

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資本主義は、個人で自由にお金を儲けてよいという考え方です。より多くのお金を稼ごうという気持ちが原動力となり、競争が生まれ、経済が発展します。しかし、資本主義社会では、競争の結果、格差が広がってしまいます。

そこで、社会主義という考え方が生まれました。生産手段を国が管理することで、利益を個人に分配し、格差をなくそうというものです。この社会主義を実現しようと、ロシアを中心に構成された巨大な国がソ連でした。

第2次世界大戦後、ソ連は西側諸国の影響力が及ぶことを恐れて、東ヨーロッパの国々を強引に仲間にし、閉ざされた社会主義経済圏をつくりあげました。アメリカはこれに対抗し、西ヨーロッパの国々と北大西洋条約機構(NATO)を結成します。ソ連も東ヨーロッパの国々とワルシャワ条約機構を結成します。

こうして、世界は東西に二分されたのです。

ソ連とアメリカは、軍事力で相手より優位に立とうと、多額の資金を投入して核兵器の開発などを進め、全面戦争に突入すれば人類が滅びるほどの状況を生みました。結局、直接戦火を交えることはなかったため、この対立は冷たい戦争(冷戦)と呼ばれています。

再び「大国」になることをめざすロシア

1980年代になって、ソ連が経済的な危機に直面しその影響力が弱まったことで、東ヨーロッパの国々は続々と社会主義をやめて資本主義に転じました。

その後、1991年のソ連の崩壊により、ソ連を構成していた国々が独立すると、ロシアの影響力はさらに低下してしまいます。ロシアは、大国としての立場を失ってしまったのです。

一方、アメリカは現在も大国であり、世界に大きな影響力をもっています。かつてソ連の仲間であった東ヨーロッパの国々や、ソ連を構成していた国々にも、その影響力を及ぼしています。

ロシアのプーチン大統領はこれが気に入りません。アメリカおよびNATOの影響力を排除し、ロシアが再び世界に影響力を及ぼす大国となることをめざしているのです。

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