《世界水泳2025》栁沢駿成(27)「仕事終わりに260円の市民プールへ…」大学卒業後に一度は水泳を諦めた営業マンが日本代表になったワケ

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日本選手権後、栁沢さんは他の日本代表選手との合宿にのぞんだ。新たなトレーニング方法を教わり、他の選手の泳ぎ方を研究してたくさんの刺激をもらった、と語る。

しかし、それ以外はいつも通り。仕事終わりに毎回260〜700円を払って市民プールで泳いだり、ジムへ行ったり。プールには子どもや高齢者もいるため、「他の利用者の邪魔をして出禁にならないように気をつけている」という。

競技者専用のプールでのびのび練習したいと思うことはないのだろうか。

「日本代表合宿をしたナショナルトレーニングセンターを使わせてもらいたい気持ちもありますが、生活圏から少し遠くて。それに、今までの環境を変えずに水泳を楽しみたい。だから、市民プールで練習するのは全然苦じゃないんです」

世界水泳期間は有休消化?

日本代表に決まり、仕事と水泳の両立も大変だろう。栁沢さんに、少しでも練習の時間をつくるために仕事で心がけていることを教えてもらった。

「タスクがたまってきたら書き出して、ボリュームの小さいものから手をつけるようにしていますね。あとは締め切りから逆算して、優先順位をつけて取りかかることも意識しています。要領のいいほうじゃないから大変です」

職場の人たちも栁沢さんの世界水泳出場を応援している。世界水泳の間は会社を休むことになるが、有休を消化するのだろうか?

「会社からは『世界水泳で休んでいる間も勤務扱いでいいよ』と言っていただけて、本当にありがたいです。人員が豊富なわけじゃないのに、僕の不在の間の仕事は同僚が引き継いでくれる。本当に感謝しています」

世界水泳の競泳は7月27日から行われる。栁沢さんが男子50m平泳ぎの予選に登場するのが7月29日だ。

「海外での初めての大会なので浮き足立ってしまうかもしれませんが、なるべく気負わず、いつも通り楽しんでレースができれば。目標は、自己ベストの26秒95を更新することです。26秒台を出せば準決勝に残れる可能性が高まりますし、26秒91の日本記録も視野に入ってきます」

栁沢さんには夢がある。

「何歳まで泳ごうとは考えていませんが、2028年のロサンゼルスオリンピックでは50m平泳ぎが正式種目になるんです。これを1つの目標にして頑張っていければなと思っています」

日本選手権後、勤務先で同僚たちが祝賀会を開いてくれた(写真:栁沢さん提供)
勤務先での壮行会の様子(写真:栁沢さん提供)
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横山 瑠美 ライター・ブックライター

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よこやま るみ / Rumi Yokoyama

鹿児島県在住。印刷会社を経て、2017年にブックライターとして独立。ウェブメディアや雑誌ではビジネス、事業承継、地域、医療・健康、SDGsなどのテーマで執筆。

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