新作「スーパーマン」へのポリコレ批判は筋違い 大コケ「白雪姫」とは違う、保守派が知らないスーパーヒーローの「原点」とは?
スポーツメディアで活躍するクレイ・トラヴィスも「今は『スーパーマン』をパスする。公開前にこんなことを言うなんて、監督は愚かだ。アメリカは政治色のない娯楽を求めているのに、ハリウッドはそれを届けられないでいる」と投稿した。
この新しい映画では、お馴染みの「Truth, Justice and the American Way」でなく、「Truth, Justice and the Human Way」のスローガンが使われていることも、保守派は気に入らないようだ。
(※_は筆者追記)
ただし、DCコミックスは数年前に「Truth, Justice and the Better Tomorrow」に変えており、「the American Way」を削除したのはガンではない。この時も、Fox Newsは、「アメリカに愛国心を表明する機会がこうやってどんどん奪われていくのか」と嘆いていた。
だが、スーパーマンに対するこれら保守の人々の憂いは、やや的外れでもある。スーパーヒーロー映画の興行成績にアメリカ国外の売り上げがますます大きな割合を占めるようになった今、「アメリカのやり方」をそれこそ「押し付け」るのではなく、みんなが共感できる言葉にスローガンを変えるのは、単純に商売として、ごく自然なことだろう。
「優しさ」はスーパーマンのキャラクターそのもの
また、映画に政治色を持ち込むなという言い分も、わからなくはないものの、ガンがスーパーマンの持つ他人への「優しさ」を強調するのは、むしろキャラクターの精神に忠実とも言えるのである。
そもそも、スーパーマンのコミックの生みの親ジェリー・シーゲルとジョー・シャスターは、共にユダヤ系の若者で、移民の子供だった。初めてコミックが出版されたのは、ナチが猛威を振るうようになった1938年。その頃のスーパーマンは、後に知られるような品行方正なヒーローではなく、シーゲルとシャスターが社会の不条理に対して抱く不満を表現するキャラクターだったという。
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