「センス良すぎる」と称賛殺到のオリックス・バファローズの広報。「オリ姫デー」「キングオブコンビ」など大ヒット企画はいかに生まれたか

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謙虚に語る後藤氏だが、ユニークな発想を生むためには、組織の空気作りと権限委譲がキモになっている。

「各部署が集まって行うミーティングは週に1~2回のペースで実施。皆がアイディアを出しやすい空気になるよう、各人のアイディアは否定するのではなく、まず実現するための方法を考えるように心がけています。それと、球団のロゴやユニフォームのデザイン、それに伴う選手の撮影など、クリエイティブ関連の業務も広報宣伝部が担当しています」(後藤氏)

前提として、広報宣伝部の業務内容は、①メディア向けの広報活動 ②SNSやWEBサイトの運用などインハウスメディアとしての宣伝活動の2つ。この両方に携わっているため、広報宣伝部という部署名になっている。

同部署のスタッフは部長の後藤氏のほか、プロ野球界でいわゆる“広報さん”と呼ばれるチーム帯同スタッフが3名(メディア担当者2名、SNS担当者1名)、オフィスで常時勤務するスタッフが5名という構成だ。注目すべきは、3名のチーム帯同スタッフは全員が元プロ野球選手だということ。これは珍しいケースではないかと後藤氏は言う。

「広報の前職は、各球団によってさまざまだと思います。例えば、チームに帯同するスタッフが2名いたとしたら、そのうちの1名が元プロ野球選手だったり。また、選手上がりではない方が広報を務められている球団も多々あります。バファローズの場合は全員が元選手ですが、これは意外に珍しいケースだと思います。

やはり選手の経験があるので、事業サイドからのリクエストをチームサイドに伝える際も、選手の気持ちをくんだ上で上手く伝えてくれています。選手からの信頼が厚いのは、選手に寄り添った判断を都度してくれているからだと思います」(後藤氏)

選手に寄り添ったうえで、ファンの気持ちを汲み取る……広報の業務としては普通のことかもしれないが、基本に忠実にしてきた結果が今のバファローズ人気につながっている。

20代の女性会員が急増

いまはどこの球団でも、シーズンを通してさまざまなイベントやキャンペーンを企画し、あの手この手で常にファンを楽しませている。ただでさえ多忙を極めるが、チームが優勝争いに絡むなど盛り上がりが醸成されると、忙しさに拍車がかかるという。

「開幕戦をはじめ、シーズンの前半から夏にかけてイベントが多いのですが、それらの仕組みや告知内容は試合のチケットの発売日までに完了しておかなければいけません。

発売日は前々月の25日になるので、例えば6月に毎年行っている女性向け企画の『Bsオリ姫デー』(2025年は6月、7月に7試合開催)は4月の半ばには準備が完了していなければいけません。つまり、シーズン前半は特に忙しくなります。加えて、チーム状況がよくて優勝争いに絡んでいくと、シーズン後半になるほど忙しくなります」(花木氏)

2024年のシーズンは主催公式戦の入場者数が200万人を突破(214万9202人)。やはり2021年から2023年にかけての3連覇(3年連続リーグ優勝)の影響が大きかったようだ。

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