教育改革の嚆矢となる「シモキタカレッジ」の挑戦 「互いからの学び」に込めた教育起業家の思い
堀内:複数の大学から人が集まるカレッジにしたいということは、既存の大学に対して、いろいろアプローチをされているのでしょうか。
小林:カレッジの素晴らしさを、多くの大学や高校と共有できればという思いはありますので、協力は大歓迎です。実際、孫正義育英財団や、東京大学、トヨタ・モビリティ基金などと協力して、学生がメンターの研究者と寝食を共にし研究に取り組むプログラムを作ったり、開成学園やドルトン東京学園などに提携校になっていただき、高校生に寄宿型の教育を提供したりしています。
しかし、各学校にはそれぞれ事情もあります。日本の寮は、リスクを避けるためほとんどが男女は別の建物にしなければならない、体育会の同じ競技の部員しか入れないというような制限がある場合がほとんどです。高校には、親元からでないと、高校に通えないというルールも多い。まずは学校単位ではなく、共感する保護者や学生個人が参加できる形式をとっています。
学びや体験の場としての寮、カレッジを作るという意味では、まだ専門家が存在しないので、もし、そういった寮を作りたい高校や大学には、私たちが培ってきたシモキタカレッジでの経験や知見も含めて、寮づくりのサポートをしますとお伝えしています。
教育に変革を起こし、社会を変えたい
堀内:日本の大学という組織は、依然古い体質で保守的な人たちが多いと実感しているので、実現に向けて試行錯誤が続きそうですね。
小林:学校という組織は意思決定権が集中していないので、理事の先生が賛成しても、なかなか物事が前に進まないケースが多いのも事実です。もちろん、学生の生活を預かるリスクも嫌われます。
ですので、まずは大学の外にシモキタカレッジのような独立した「出島」を作り、成功例を作る。
そこに学生や大学関係者に足を運んでもらう中で、カレッジの価値を実感してもらい、徐々に大学に取り入れていってもらうことが変革につながればという気持ちでいます。
国からの教育・科学技術予算が削減される中で、カレッジを通じて学生体験に投資し、将来、基金への寄付という形で自主財源を獲得することは、日本の大学の生き残りや質の向上にも資するはずです。
大学以外でも、官民や企業の枠組みを超えて若手のプロフェッショナルが生活を共にしたり、起業家とVCといったスタートアップのエコシステムが寝食を共にするような形で共創を促したりすることができれば、日本の成長戦略に寄与することも可能だと考えています。
われわれの目指すことが実現するまでには長い年月が必要かもしれませんが、日本の教育に少しでもよい変革を起し、社会をいい方向に進めることができればという思いです。
堀内:多くの興味深いお話をしていただき、ありがとうございました。
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