教育改革の嚆矢となる「シモキタカレッジ」の挑戦 「互いからの学び」に込めた教育起業家の思い
小林:ありがとうございます。HLABでは、異なる人生を歩む人々が、互いの違いから刺激を受け、学び、未来を共創する教育環境の実現をビジョンに、日本にカレッジでの教育を実現し、未来を創るリーダーを育てることを目指しています。
「異なる価値観」との出会いが生むもの
そのために最初に手掛けたのがシモキタカレッジです。カレッジの名の通り、多様な学生が分野や世代を超えて集い切磋琢磨する学寮、英米の大学におけるカレッジの機能を、大学とは独立させて東京の下北沢に作りました。
これからの日本は、少子高齢化が進み、移民の問題も避けては通れなくなる。今まで向き合わずに済んだ世代間や人種間の対立も起こりうる。そのような時代にあって、日本人も、多様性に真摯に向き合わなければならなくなるでしょう。
そういった時代背景の中で、リベラルアーツ教育が育む、異なる価値観と向き合い、他者との違いから学ぶ技術、また、それをアウトプットに変えていく技術は、これからの日本において、ますます求められるようになる。そのための仕掛けとしてカレッジが有効だと考えています。
本来は大学がキャンパス内に作ればよいのですが、日本の場合、かつての学生運動などの影響から、依然として寮に対する嫌悪感が残っています。また、寮はあくまで地方から上京する学生が安価で住む場所という意識から抜け出せていません。日本の大学にとっての寮はあくまで住居であり、教育の場ではないのです。
となると、大学の外に作るしかないのですが、せっかく外でやるならば、複数の大学から人が集まってくるカレッジにしたい。また、企業から若手が集まってもいいし、政治家やスタートアップの創業者、ベンチャーキャピタルのような大学と関係ない人たちが常に足を踏み入れ、学生と切磋琢磨するのもよいのではないか。
東京のような都心の開かれたカレッジは、欧米の大学以上に多様で、世代や分野を跨ぐ、リベラルアーツ教育を実現できると思ったのです。
これが特定の大学に紐づかない形でカレッジを作った理由です。オックスフォードには45、ハーバードには12のカレッジがありますが、東京の大学至近の立地に、学生が切磋琢磨するカレッジ群を複数展開していこうと考えています。
その1棟目を共感してくださった小田急電鉄さんと下北沢に開校し、今後は、本郷や早稲田、日吉、大岡山、三鷹といった場所にも作ることを目指しています。そこには高校生が住んで大学生や働いているロールモデルと暮らしながら学校に通ってもいいですし、地方への拡張も考えられるはずです。