老後資金も大きな道筋は見えている。ネモさんは60歳から70歳までに1450万円を受け取れる個人年金保険に加入しており、夫もドル建ての変額年金で1000万円程度は受給できる見込みだ。加えて、公的年金に加えてネモさんはiDeCo、夫はDCという上乗せ年金もある。
そんなネモさんが目下、家計の変動要因として気になっているのは足元の金利上昇だという。
残高1870万円の住宅ローンは夫が70歳で完済予定。住宅ローン控除期間が終了し次第、繰り上げ返済をして65歳完済を目指すつもりだ。しかし、変動金利型ローンのため、当初の適用利率0.725%が直近で1.125%まで上がっている。結果、毎月の返済額6万円に占める利息の割合は1万円から1万8000円まで膨らむ。ネモさんは「パートになるまでの目標貯蓄額を1000万円から住宅ローンの残債まで増やそうと思っています」と話す。
「ネモさん方式」は向き不向きがある
共働き夫婦の家計管理を難しくしている大きな要因が、“平等性”と“透明性”の確保だ。ローンの返済や公共料金、子供にかかるお金など費目ごとに負担を分けると完全な折半は難しくなる。一方、嗜好品や趣味などプライベートな支出には、いくらパートナーだろうと詳細を知られたくないものもある。
ネモさん夫妻はうまくルールを設定することで、夫婦お互いに納得感のある家計運営を成立させていた。
ただし、互いに消費性向が強い高収入カップルの場合、こうしたやり方を継続した結果、定年直前になってお互いほとんど貯蓄をしていなかったことに気付くといった残念な結末も想定されるので注意したい。
少なくともご夫婦の一方がネモさんのような堅実な経済感覚の持ち主なら、大いに試してみる価値はありそうだ。
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