高額な早期警戒機が日本では「欠陥機」だった 周波数帯をまともに使えない大矛盾

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空自の「E-2C」はECMで使用できる周波数帯はわずかしかない。写真は米海軍の「E-2C」(写真:Nori / PIXTA)

「自衛隊」と他の国の「軍隊」は、見た目はほとんど同じだ。しかし、実はその中身は大きく異なっている。

意外と見落としがちなのが、法制度面における違いだ。諸外国の軍隊は、戦争という非常事態を想定した組織となっており、通常の行政機関とは異なり、法律の外で活動することが認められている。ところが自衛隊は戦時活動を想定していないため、他の行政機関や民間機関と同じように平時に即した法規制を受けている。

例えば諸外国の衛生兵は自分の判断で投薬や注射、手術まで行う。しかし、自衛隊の場合、衛生兵に相当する救護員は、看護師などと同じ資格なので、医師(医官)の指示が無ければ投薬も注射もできない。手術などもってのほかだ。だが陸自で医官がいるのは師団や旅団などの大きな単位の組織のみ。中隊(約100名ほど)であれば、救護員しかいない。

戦闘で負傷者が出ても、まともな手当を行うことも、麻酔で痛みを止めることもできない。NATO諸国であれば軽度な負傷で済むようなケースでも、自衛官の場合は、死亡したり、手足を失ったりする。しかも苦しみながら死ぬことになる。防衛省も自衛隊もこの現状を放置してきた。平和ボケの態勢を放置したままで先の安保法制が審議され、法制化されたのだ。

電波をまともに使えない

法律による制限や規制は、特に電波関連で大きい。先の東日本大震災では陸自の無線機が通じない混線が問題となったが、その理由は世代が異なる無線機を多用(古い無線機が多かった)していたこともあるが、無線機に適した周波数帯を総務省から割り当てられていないことに主因がある。

現在、陸自は新型の野戦無線機を導入しているが、使用周波数帯が同じなので新型になっても通じないことに変わりはない。

航空自衛隊でも同じような問題がある。『月刊軍事研究』10月号の第20代航空幕僚長、鈴木昭雄氏の連載「空の防人回想録」には次のように書かれている。

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