高額な早期警戒機が日本では「欠陥機」だった

周波数帯をまともに使えない大矛盾

筆者はこの件に関して10月2日の定例記者会見で齊藤治和航空自衛隊幕僚長に対し、次のように質問を投げかけた。「鈴木元空幕長のE-2CのECM能力に関する記述は正しいのか、それは現在でも同じなのか」。これに対して齊藤空幕長はE-2Cの能力は十全であるとし、詳細は広報室から回答すると答えた。

その後、広報室は「E-2Cの運用状況等の具体的な事項については、我の手の内を明かすこととなりますので、お答えは差し控えますが、現在は、より制約の少ない海外訓練を活用して、実戦的な電子戦環境下における防空戦闘訓練等を実施しています」と回答した。

自衛隊に対する電波規制は基本的に鈴木空幕長の時代から変わっていない。空幕長、空幕広報室の回答を読み替えれば「電波の使用には問題があるが、海外で訓練しているから大丈夫」ということだろう。

国内で訓練ができないことは大問題

だがこれはかなり苦しい言い訳だ。国内でまともに訓練できずに、たまに海外で訓練すれば有事に対応できるわけがない。

F-4EJ(写真:barman / PIXTA)

振り返れば、自衛隊が日陰者扱いされていた1980年代ぐらいまでは、F-4EJファントム導入にあたって「爆撃用コンピュータは攻撃的だからとりはずせ」などという幼稚な空理空論がまかり通っていた。

また当時防衛省はまだ防衛庁であり、内閣の一外局に過ぎず、政策立案能力も期待されていなかった。このため法改正や他の省庁に対する規制の緩和などを言いづらい状態であっことは事実だろう。

だが防衛庁は既に政策官庁である防衛省に昇格して長い時が経過している。にも関わらず、法的な不都合や規制に関して、改革を求めることなく、ひたすら不合理な現状に合わせて仕事をしているフリ、軍隊のフリをする習いグセは治っていない。

それは、この連載で繰り返し指摘している「どうせ戦争なんて起こるはずがない」という楽観主義や事なかれ主義、換言すれば平和ボケによるものだろう。このような問題を提議することも改革を求めることもしないのは、当事者意識の欠如である。

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