「にじみ出る"世渡り上手"なエリート感」「掲げる大義のショボさ」が原因だ…LUUPがすっかり「嫌われ者」になった本質的な要因
LUUPが使われているのは東京、なかでも新宿や渋谷といった繁華街が中心です。こうしたエリアでは、10分も歩けば地下鉄や鉄道の駅、あるいはバスの停留所にたどり着けます。
ビジネスで成功した著名人の一部がLUUPの大義を擁護していますが、公共交通もLUUPも使っていなさそうな、普段は運転手つきの車で移動していそうな富裕層による擁護意見が多いので、なかなか一般的な説得力が生まれてこないのです。
にじみ出る「世渡り上手なエリート感」
もうひとつ大切なのが、本物感です。
SNSでは「何を言っているか」以上に、「だれが言っているか」が問われます。ですがLuup社の岡井社長の経歴やXの投稿からは、「街じゅうを駅前化する」ことへの切実な想いがどうにも伝わって来ません。
岡井大輝社長の経歴は東京大学卒業、コンサルティング会社を経て起業と、名前の通り大いに輝かしいものです。他の経営陣も、世界有数のコンサルティング会社の出身者など「エリート中のエリート」ばかりです。
さらにLuup社は、電動キックボードを普及させるために、道路交通法の改正を政治家や行政に働きかけたことを公言しています。前述したように、2024年には元警視総監を監査役として迎えました。
輝かしい経歴の経営陣、そして動きの遅いことで知られる行政が急ピッチで規制緩和を認める。この2つの事実がそろったとき、SNSではどのように見られるでしょうか?
SNSは対立構造を生みやすい空間です。その対立は、ほとんどの場合、「うまいことやっている、あちら側のやつら」対「何も持たない、こちら側の私たち」という構図で描かれます。
たとえば「テレビや新聞など既得権の上に立つオールドメディア」対「何のしがらみもない私たちが真実を語るSNS」、あるいは「自分たちの権勢拡大のために増税に突き進む財務官僚」対「財務官僚のせいで苦しむ、何もない私たち」といった具合です。
Luup社は輝かしい経歴の経営陣をそろえ、政治家や行政への働きかけを公言し、さらに元警視総監というバリバリの既得権側の人材を迎え入れたことで、SNSの世界では完全に「あちら側のやつら」になってしまったのです。
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