「にじみ出る"世渡り上手"なエリート感」「掲げる大義のショボさ」が原因だ…LUUPがすっかり「嫌われ者」になった本質的な要因
しかもタイミングの悪いことに、このインタビューのすぐ後にLUUPの利用者が首都高に誤進入する事件が発生。「一部では済まない」と、いっそう批判されることになりました。
さらに同年11月には、LUUPの駐輪スペースが、地面に埋設してある水道メーターボックスの上に設置されている写真がXに投稿され、「検針に支障が出る」との批判を浴びました。
このときには、Luup社は信じられない対応をします。なんとゴムシートを敷いて、水道メーターボックスを隠したのです。あまりに非常識でその場しのぎな対応に「モラルが崩壊している」「隠蔽体質」などと、さらに批判が高まることになってしまいました。
掲げる大義が軽く、本物感がない
ベンチャー企業のPRでは、長年「勝利の方程式」とされてきた手法があります。「大義を掲げる」という手法です。
事業目的として「社会課題の解決」という大義を掲げることで、メディア、さらに一般の人たちの支持を広く集めることを目指します。
たとえばソフトバンクは、「情報革命で人々を幸せに」という経営理念を掲げています。PRのメッセージにもこの“大義”を頻繁に盛り込んでおり、たとえば「情報革命で人々を幸せにするため、新たにロボット事業に参入する」といった具合に徹底しています。
一方のLuup社は、「街じゅうを駅前化するインフラをつくる」という大義を掲げています。問題は、この大義が軽く、いまいち本物感がないという点です。 LUUPが脅かしているのは街の安全であり、最悪の場合は人命にもかかわります。人命を天秤にかけるにしては、「街じゅうを駅前化する」という大義は、あまりに軽すぎるのです。
電動キックボードを日本に先行して導入してきた欧州の動きも、LUUPへの嫌悪感にお墨つきを与えています。2023年にはパリ市が、都市景観の悪化や歩行者の安全が脅かされていることから、電動キックボードのシェアリングサービスの廃止を決定しました。スペインのマドリードでも、ヘルメット着用が義務化されました。さらに違反者には罰金が科されるようになるなど、世界的に規制が厳格化しています。日本の動きは、こうした世界の潮流に明らかに逆行しているのです。
さらに、大義にいまいちリアリティが感じられない点も、広範な支持が得られない要因でしょう。
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