135カ国を旅したトラベルジャーナリストが万博へ行ってみた《滞在編》。イタリア館1番get→モナコ館「7500円のコニャック」で締めた長い1日

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お兄さん:「今からでも遅くないから買ってくださいよ」

最後のボケがいかにも「関西万博」という感じである。

開門とともにイタリア館へ

牧歌的だったのはここまで。

徐々に緊張感が高まっていき、8時55分の開門とともに、少しでも前に行こうと人の波が圧力をかけてくる。筆者はセキュリティ検査で先頭から5番目だったが、前の人がチケットのQRコード読み取りで手間取って時間をロス。

後ろから「ここはハズレだな!」と叫ぶ声が聞こえたが、いまさら悔いても仕方がない。筆者も無事にチケットの読み取りが終わると、目の前にはすでに多くの人々がパビリオンへ向かっていた。

筆者は1985年、つくば市で開かれた科学万博を訪れた際、ゲートに2連泊した。1日目は富士通、2日目はNECでそれぞれ待ち時間を減らすためだった。

あれから40年経ったが、人類は進歩していないなと感じつつイタリア館を目指す。その距離約500m。イタリア館前にたどりつくと意外にライバルは少ない。イタリア館のスタッフに確認して並ぶ位置の先頭を確認したところ、一番だった。

このとき8時57分。これから数分後にはすでに長蛇の列ができている。9時過ぎに着いても2時間待ちだった、という投稿も見ているので、朝の数分差が生命線であることが確認できた。

イタリア館に到着してもほっとしている余裕はない。入場して5分後には当日予約が開始となる。8:59にスマホにアクセスするとすでに前に36人並んでいたが、ほどなくアクセスできたので落合陽一氏プロデュースによるパビリオン「null²(ヌルヌル)」の予約を済ませる。

2時間以上並んだご褒美はイタリア館待ち時間ゼロと、入場が早い順にアクセスできるために当日予約がほぼ取り放題になるというこの2点が得られることだ。その意味では苦労した甲斐があった。

9時8分、イタリア館への入場が始まった。少数の予約者のほか、VIP客の姿もあったが、ほとんどが西ゲートダッシュ組である。

そのイタリア館はどうだったのか。目玉は古代ローマ時代の彫刻「ファルネーゼのアトラス」であり、カラヴァッジョの絵画「キリストの埋葬」やミケランジェロの彫刻「復活のキリスト」である。

イタリア館
イタリア館(写真:筆者撮影)

たしかに1つひとつの作品は貴重なものなのだが、いかんせん数が少ない。フィレンツェのウフィツィ美術館やバチカン美術館と比較するものではないのかもしれないが……。正直6時間待ってまで観る価値があるのか個人的には疑問符がついた。

もちろん人によっては髙い評価をしているからこそ、今の人気に至っているのだろうが、いったんバズると自動的にそれが肥大化してしまう現代の象徴のようにも感じた。

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