135カ国を旅したトラベルジャーナリストが万博へ行ってみた《滞在編》。イタリア館1番get→モナコ館「7500円のコニャック」で締めた長い1日
待ち時間を出していないパビリオンも多いので、その場合はスタッフに確認したい。なお、行列は長さよりも動いているかどうかが重要。常に少しずつ動いているような列なならさほど時間はかからない。
トルクメニスタンも結局20分待ちで入ることができた。パビリオンの入り口にはこの国の独裁者であるベルドイムハメドフ大統領の肖像画がある。
トルクメニスタンをどのようにPRするのか興味があったのだが、ふたを開けてみるとトルクメニスタンで生産されている工業製品が陳列されているなどやや拍子抜けの印象だ。最も同国の首都・アシガバードの白亜の建築物がひたすら続く景観は、なかなかパビリオンでは伝えきれないのかもしれないが……。
行列で待っている間、近くに「トルク…なんだって」と国名を言えない人がいてやや驚いたが、逆の見方をすれば、国名がわからない層にまで訴求しているという意味では今回の万博で最も成功したパビリオンの1つなのかもしれない。
レベルの高いシグニチャーパビリオン
午後は13時5分に当日予約をした落合陽一「null² パビリオン」と18時35分に7日前予約で確保した小山薫堂「EARTH MART」の間に、アメリカ館(英語での案内で30分待ち)と待ち時間が短いパビリオンを見てまわった。

落合陽一・小山薫堂両氏のシグニチャーパビリオンはコンセプトとメッセージがいずれも明白で人気が髙いことがよく理解できた。
「EARTH MART」では最後に25年後に食べられる梅干しの引換券が渡される。10年後でも50年後でもなく25年後という点が妙にリアリティがある。生きて、なおかつ梅干しをはたして味わうことができるかどうか。そんなタイムスケールを考えさせるきっかけともなった。

アメリカ館も2時間以上待たされることが多い人気パビリオン。だが、英語のツアーであれば待ち時間が短い。今回は30分ほどの待ち時間で観ることができた。

非常時の脱出などの問題もあるので英語は「上級者以上」との但し書きがある。筆者はこの日で万博26回目の猛者であり、アメリカにも留学していた水野哲典さんと入った。

このほか、淡路島からの船を利用すればパソナのパビリオンは優先入場ができるなど、万博情報にはさまざまな例外事項がある。
こうした情報も日々更新されているため、よほどの時間と労力を投入しないと最適解を弾き出せない。筆者も下調べに要した時間は万博滞在時間をはるかに上回った。このハードモードをゲーム感覚で楽しめるか否かが今回の万博のカギのように感じた。
午後も遅い時間になると体力は限界に近づいてくる。そこでついに動かずに万博を堪能する最後の手段に出た。
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