日産・ルノー連合が「一体化」を目指す理由

"目の上のたんこぶ"に対抗

欧州の自動車産業に詳しい獨協大学の黒川文子教授も「組立工場は二つぐらい過剰」と見る。生産移管は日産のメリットが見えにくく、低稼働率に悩むルノーへの実質救済と読むのが自然だ。現にルノーは増産に向け、2015年に正社員を1000人増やす。「フランスは失業率が10%台と高く、政府の主要産業への介入が際立つ」(国際貿易投資研究所の田中友義・客員研究員)。

だが、皮肉にもフランス政府の関与強化で、日産とルノーの“一体化”はより深まる。日産の議決権保有について、調査会社アドバンスト・リサーチ・ジャパンの遠藤功治アナリストは「日産とルノーはもはや一蓮托生で自然な流れ」と分析。ある日産役員OBも「(現在世界4位の)連合がトップ3と戦い抜くには必要だ」と評価する。両社は2014年4月、研究開発、生産技術、購買、人事の主要4機能を統合したが、これで資本面でも一体運営が進むことになる。

日産・ルノー一体化の効果は、フランス政府を牽制するばかりでない。新興国含め世界で自動車市場が広がる中、どの車種をどの国で生産するかは、メーカーの競争力を大きく左右する。フランス国内で造った車が売れなければ、結局、フランス政府自身も困ってしまう。

今後、日産・ルノー連合がもう一段成長するためには、工場閉鎖やリストラなど、冷静かつ大胆な経営戦略が時に必要だろう。自国の雇用維持に躍起になるフランス政府とどう渡り合っていくか。日仏企業連合とフランス政府とのつばぜり合いは激しさを増しそうだ。

「週刊東洋経済」2015年10月24日号<10月19日発売>「核心リポート03」を転載)

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