日産「エクストレイル」はなぜHVを追加したか

国内販売に抱える悩みと世界への展望

日産がハイブリッド仕様を追加した中型SUV「エクストレイル」

誤解を恐れずにいえば、私たち日本人にとっては、「何をいまさら」の感は否めない。日産自動車がこの5月に発売した「エクストレイル ハイブリッド」のことだ。その名のとおり、排気量2000cc級のガソリンエンジンを搭載した中型SUV(スポーツ多目的車)であるエクストレイルをベースにしたハイブリッド車(HV)である。

エンジンとモーターの併用により、既存の燃料インフラを活用しながらも燃費を高められるのがHVの強み。ただ、日産はライバルのトヨタ自動車やホンダに比べてHVの展開にはこれまで積極的ではなかった。

HVの展開で出遅れてきた

トヨタが初の量販HV「プリウス」を投入したのが1997年、ホンダ「インサイト」は1999年。対する日産は、2000年に「ティーノハイブリッド」なる独自開発のHVを投入したものの、十分な収益を確保できず、100台限定と少量の販売にとどまった。その後は主力のミニバン「セレナ」で採用している簡易型HVを除き、HVの市販からは事実上、距離を置く。再び独自のハイブリッドシステムを搭載した「フーガハイブリッド」が登場するのが、ようやく2010年11月となる。

日産はそれ以後、大型セダン「シーマ」「スカイライン」にもHVを設定するものの、スカイラインのハイブリッド仕様が最安で車両本体490万円台。それよりさらに上級のフーガやシーマについては言わずもがなで、一般的な量販車を求めるユーザーにはとても手の届く価格帯ではなかったのが、これまでの日産のHVだった。

今回投入したエクストレイル ハイブリッドは最安で車両本体が280万円台。これでもトヨタ「アクア」(176万円台~)「プリウス」(223万円台~)、ホンダ「フィットハイブリッド」(168万円台~)など競合の量販HVほどの手軽さはない。ただ、売れ筋の車種に初めて本格的なハイブリッド仕様を設定したことは、日産のエコカー戦略が具体的に転換してきていることを象徴している。

もともと日産がHVよりも先行させていたのは、電気自動車(EV)だ。日産は2010年12月に本格的な量産EVである「リーフ」を世界で初めて市場に投入。これまでに累計で約18万台を販売している。2位のゼネラルモーターズ(GM)、3位のトヨタ、4位のテスラ・モーターズが6万〜9万台あたりなのに対し、世界でEVを一番売っている自動車メーカーは日産だ。

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