日産「エクストレイル」はなぜHVを追加したか 国内販売に抱える悩みと世界への展望

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日産が世界初の量産EVとして投入した「リーフ」

ただし、日産にとってEVの販売はその屋台骨を支えるには至っていない。トヨタやホンダは主力車種に次々とHVを設定。トヨタでいえば世界全体での累計販売台数は2014年9月時点で700万台を突破しており、どんどん上積みしている。

そんなご時世の今になって日産が、エクストレイルのような売れ筋車種にハイブリッド仕様を追加した理由は大きく2つある。一つはHV市場が、日本国内に限らず世界的にまだまだ伸びるポテンシャルがあること。特に、日産にとって重要な市場である中国とアメリカにおける需要が見込まれる。

中国では現在、「国5」という排ガス規制が施行されているが、北京が先んじて導入したものが一級都市から順に全国に普及する方針を採っている。次なる「北京6」は、2016年から導入される予定だ。

欧米でも環境規制が一段と強化

アメリカでも、オバマ政権が毎年、5%ずつ燃費規制を強化することを決めた。2016年までに自動車メーカーごとの平均燃費を35.5MPG(約15km/km)まで低燃費化することになっている。スタートした2012年と比べて、約42%も低燃費化する。EU(欧州連合)でも、今年中にメーカーごとのCO2排出量を120g/km以下に減らすという目標値が設定されています。2020年にはさらに厳しい95g/kmまで低減するシナリオだ。

こんな数字を並べてもピンとこないが、要は、ガソリンエンジンでおおよそ1500cc級の燃費だ。当然、小さなクルマや低燃費のディーゼル車の比率が高いフィアットやプジョーなどのようなメーカーは規制をクリアできそうだが、大きく立派な高級車やSUVを得意とする自動車メーカーにとっては頭の痛い問題。HV投入は日産にとって、これらの課題への有力な対応策の一つになる。

もう一つの理由は、ここ日本市場における競争力を高めるためだ。トヨタやホンダの攻勢もあり、今や日本の新車販売台数のうち、HVは1割程度。世界に目を向けると、日本ほどハイブリッドの普及率が高い国は限られているものの、日産はHVのラインナップがあまりにも少なかった。

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