日産「エクストレイル」はなぜHVを追加したか 国内販売に抱える悩みと世界への展望

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現行エクストレイルの投入時は、従来型とは違う丸みを帯びたデザインに話題が集まったことも

近年の日産はあまりにもグローバル化に偏重した結果、国内市場にあわせたモデルを国内で求められる時期に販売できない体質になっている。自動車メーカーとしては、アメリカや中国を重視した戦略を取ることに異論はないが、国内の販売店にとっては売りやすいクルマが乏しいという辛い状況が続いている。

エクストレイルは、スキーやアウトドアに行くアクティブ派のファミリー層に人気で、国内販売の中核を担う重要なモデル。自動車所得税と自動車重量税が1回目の車検まで無料となるエコカー減税の対象となるハイブリッド仕様が加わるのは、日産の国内販売店にとって朗報といえよう。

そんなエクストレイル ハイブリッドとはどんな車なのか。

外観上は、メーカー・オプションのLEDヘッドランプが標準となり、リアのバッジが控えめにハイブリッド仕様であることを主張する程度にとどまる。価格は、エンジン車と比べて約40万円高い。低燃費というだけでこの差額を取り戻すのは長い距離を乗らなくてはならないが、LEDヘッドランプが標準となることに加えて、税金の減免で十分に取り戻すことができる。

パワートレインは大幅に手が入れられている。147ps(馬力)/207Nmを生む排気量2000ccの直噴ガソリンエンジンは、モーターとCVT(無段変速機)を組み合わせた「ハイブリッド機構」として考えたときに動力性能と燃費性能をバランスよく発揮できるように最適化されている。組み合わされる電気モーターの出力は41ps/160Nmと、トヨタ製ハイブリッドと比べると小さな出力のものを組み合わせている。

トヨタ式HVとの大きな違い

ここまでで、「トヨタのほうが大きなモーターでパワフルなのか」という誤解はしないでほしい。実は、ここにトヨタと日産のハイブリッド機構との最大の違いがある。トヨタ式ハイブリッド機構では、エンジンと電気モーターを切り離すことができない。そのため、エンジンの出力をモーターで受け止めなくてはならないので、どうしても性能の高い電気モーターを組み合わせることになる。

トヨタ式のメリットはクラッチがなく、その滑りで出力をムダにしないため、低速で何度もストップ&ゴーを繰り返すようなシーンで低燃費という点だ。しかし、高速道路などでいったん加速した後にだらだらと流して走るようなシーンでは、電気モーターを引きずっているぶん、わずかではあるが出力をムダにしている。

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