三菱自動車が「拠点再編」で攻める市場は? 北米生産撤退で戦略はクリアになった

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7月27日に米国生産撤退の決定で会見を行った三菱自動車の相川哲郎社長

三菱自動車が懸案にメスを入れた。北米子会社が米イリノイ州に構える工場の生産を2015年11月末で終了することを決めたのだ。

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北米工場で生産している「アウトランダースポーツ」(北米子会社のホームページより)

目下、同工場で生産しているのは「アウトランダースポーツ(日本名・RVR)」のみ。米国市場向けのほかロシアなどへの輸出向けにも生産しているが、2014年の生産実績は6.9万台に過ぎず、稼働率は5割台にとどまっていた。今後も北米での販売は継続し、現地生産分は日本の岡崎工場に集約する。

「身の丈に合っていなかった」

三菱自動車はこれまでにも拠点再編を進めており、2008年にオーストラリア、2012年に欧州での生産から撤退した。リーマンショック後に生産台数が、2万~3万台まで落ちた米国は、つねに撤退が検討されてきた市場でもある。三菱商事出身で、2005年から経営再建の指揮を執った益子修会長がかつて、「身の丈に合っていなかった」と指摘した海外拠点の一つだ。

このタイミングで決断に至ったのは、生産台数の3割超を占めるロシア向けの輸出が、景気低迷を受けて2014年後半から急に落ち込んだことが大きい。1000人を超す従業員が働く米国工場は、今後買い手を探す。仮に売却先が見つからなければ、退職金や工場除却に伴う特損が発生するおそれもある。

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