扱いづらい、浮いている…「モンスター社員」を生み出しやすい企業の残念な"思考回路"とは

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確かにそれも一因ではありますが、私がこれまで多くの企業を支援してきたなかで「採用がうまくいかない理由」はただひとつの要因で語れるものではなく、複数の課題が複雑に絡み合った"構造"として存在しているということが見えてきました。

つまり、採用の失敗とは「ミスマッチ」という結果の手前に、いくつもの認識のズレやアプローチの齟齬が存在しているものなのです。

本稿では今、採用の現場で起きている"ミスマッチの正体"を丁寧に分解しつつ、「なぜこれだけ"想い"や"理念"を発信しているのに、うまくいかないのか」という疑問に、実践的なヒントを加えながら答えていきます。

企業と働く人の価値観をマッチングする「スタイルマッチ」という考え方をより深く理解してもらうためにも、まずはここで"採用の現実"に正面から向き合っていきましょう。

「半径5メートル以内」とのマッチが不可欠に

No Companyでのここ数年間の業務を通じて、はっきり見えてきたことがあります。それは、企業が「パーパス」や「ミッション・ビジョン・バリュー」を発信していても、ミスマッチが減らないということです。

従業員5000人以上の大企業の約7割がパーパスを設定しており、経営者の約97%が「パーパスを浸透させることは重要」と考えているというデータがあります。同時に、ミッションやビジョンの発信が増加していることも数字に表れています。

ところが、従来と比較しても早期離職率は下がっていないのです。現在も、高卒・大卒の新卒採用者の3割以上、中途採用者の約3割が3年以内に、離職しているという現実があります。しかも、早期離職のハードルを下げるツールが豊かになってきて、さらに辞めやすくなる状況が生まれてしまっています。

パーパスを設定し、浸透させ、ミッションやビジョンを発信するのは、決して悪いことではありません。度外視するわけにはいきませんし、これらが増えるのは、むしろいいことといえます。

しかし、それ一辺倒だと求職者の心をつかむことはできず、ミスマッチの溝は、なかなか埋まらないのです。

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