「意見が合わない」「話がまとまらない」とき喧嘩せずまとめるには――"対立"の中身に応じて対処法を変えるのがポイント

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まず、一番対立を乗り越えやすいのが「手段レベルの対立」です。これは、何を目指すかは合意ができているものの、手段については意見が対立していることです。

たとえば、「新商品のターゲット層を広げる」というマーケティング戦略において、Aさんは「若年層へのSNS広告を強化すべき」と主張し、Bさんは「富裕層向けの高級雑誌への掲載を増やすべき」と主張している場合です。

この場合、両者とも「ターゲット層を広げる」という目的には同意しています。意見が分かれているのは、それを達成するための「手段」です。

この対立を乗り越えるためには、各手段の費用対効果(SNS広告のリーチ数、雑誌広告の購買層への影響力など)や過去の事例(類似商品におけるSNS広告と雑誌広告の効果比較)など、客観的なデータを用いて議論したり、両方の手段を小規模で試してみて、効果を検証したり(A/Bテストの実施など)、両方の手段のよいところを取り入れた戦略を立てればよいでしょう(SNS広告で若年層の興味を引き、高級雑誌で富裕層へ訴求するなど)。

このレベルで必要なのは「知的な議論」であって、ある意味「対話」は不要だといえるでしょう。

「目的レベルの対立」とは?

次に「目的レベルの対立」です。これは「何を目指すのがよいか」をめぐる対立、究極的には、個人の価値観や倫理観といった信念に根ざした対立であり、解決の難しいものだといえるでしょう。

たとえば、企業の経営戦略について、Aさんは「株主への利益還元を優先すべきだ。短期的な株価上昇を重視し、高配当や自社株買いをおこなうべきだ」と主張し、Bさんは「従業員の幸福度向上を優先すべきだ。長期的な企業成長のためには、給与水準の引き上げや福利厚生の充実が不可欠だ」と主張している場合です。

この場合、Aさんは「株主価値」を、Bさんは「従業員価値」を優先しており、それぞれの価値観にもとづいて意見を述べています。

このような信念の基礎にあるのは、その人の経歴、立場、専門性などによって形成された解釈の枠組みとしてのナラティヴです。それは強固なものですから、なかなか譲り合うことができないものです。

このような目的レベルの対立を乗り越えるために有効なのが、それぞれの信念をつくり出している「経験」と「言葉」を掘り下げていくことです。

ここで言う「経験」とは、そのような信念が生まれる背景にある経緯や原体験のことです。対話のなかで、それを互いに共有し合ってみましょう。

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