人生100年時代、「認知症・癌・糖尿病」をどうするか。健康な長寿人生を送るため、個人でできること・社会ができること

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糖尿病の増加と関連しているのが肥満、すなわち過剰な脂肪が体に蓄積されることだ。2016年のデータによると、推計で世界の成人6億5000万人以上が肥満の状態にある。言い換えれば、世界の成人の13人に1人近くが肥満なのだ。肥満の人の割合は、1975年に比べておよそ3倍に跳ね上がっている。

しかも、これは大人だけに見られる傾向ではない。5~19歳の子どもに占める肥満の割合は、1975年の時点では25人に1人だったが、いまでは5人に1人近くに上昇している。

運動、睡眠、栄養だけでない対策とは

以上のような一見すると矛盾したトレンドをどのように解釈すればいいのか。長寿化により、平均的に見た場合、私たちはより健康に、より長く生きるようになるのか。それとも、劣悪な健康状態で長く生きるようになるのか。

好ましいニュースは、最初の問いの回答がイエスであること。一方、悪いニュースは、2つ目の問いの回答もイエスであることだ。

私たちが人生のなかで健康に生きられる期間の「割合」が高まっていることは事実だが、劣悪な健康状態で生きる「年数」は減っていない。病気を患って生きる不健康期間は、短くなるのではなく、長くなっているのである。

このようなことが起きている原因は、私たちが長く健康に生きる能力が高まるのを上回るペースで、私たちの平均寿命が上昇していることにある。その結果として、よい老い方をすることが新しい重要課題になり、ひとりひとりが加齢に伴う病気に対処し、運動と睡眠とストレスと栄養について真剣に考えることが不可欠になっている。

また、肥満の人と糖尿病を患う人が増えていることを考えると、政府は、人々が健康に老いる後押しをする21世紀型の公衆衛生政策を検討すべきだ。こうした状況の下、科学界も、よりよい老い方を可能にするための治療法を開発することへの関心を強めている。

老い方を変えるために、いま長く健康に生きられるエバーグリーン型への転換を進める必要があるのだ。

アンドリュー・スコット ロンドン・ビジネススクール経済学教授

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Andrew Scott

ロンドン・ビジネススクール経済学教授。ハーバード大学とオックスフォード大学で教鞭を執った経験もある。ロンジェビティ(長寿)フォーラムの共同創設者であり、スタンフォード大学ロンジェビティ(長寿)センターのコンサルティング・スカラーも務める。共著に、世界的なベストセラーになった『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』などがある。ロンドン在住。

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