人生100年時代、「認知症・癌・糖尿病」をどうするか。健康な長寿人生を送るため、個人でできること・社会ができること

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ここでは、2つの要素を切り離して考える必要がある。ひとつの要素は、生涯の間にある病気を経験する確率。当然のことだが、どのような病気でも、長く生きるほど生涯の間にその病気を患う確率は高まっていく。

加齢に伴う病気の場合は、とりわけその傾向が強い。認知症と癌を患っている人が増えていることは、平均寿命が上昇していることの結果とみなせる。一方、もうひとつの要素は、ある年齢である病気に罹患する確率だ。こちらの要素に関しては明るい材料がある。

人が認知症になるリスクは、すべての年齢で低下しているように見える。10年ごとに約13%のペースでその確率が低下しているのだ。人生が長くなれば、生涯の間に認知症を患う確率は当然高まるが、それぞれの年齢で認知症を発症する確率は下がっている。この点は、老化のプロセスが固定的なものではないという強力な実例でもある。

同様に、生涯の間に癌を患う確率は高まっているが、癌患者の生存率も高まっている。アメリカでは1975年から2016年の間に、24種類の癌のうち21種類で5年生存率が改善している。1975年の時点では、5年生存率が50%を超えていた癌の種類は全体の半分にすぎなかったが、現在はその割合が4分の3に達しているのだ。

アメリカ人の10人に1人が糖尿病

しかし、明るい材料ばかりではない。加齢が大きなリスク要因になる病気のひとつが2型糖尿病だ。インスリンの分泌機能が低下することなどが原因の2型糖尿病は、世界の死亡原因の上位10に入っており、罹患している人の死亡リスクを推計で2~3倍に高めると言われている。

1990年から2017年の間に、世界で糖尿病を患う人の割合は2倍以上に上昇した。現在、イギリス人のおよそ16人に1人、アメリカ人のおよそ10人に1人が糖尿病だという。

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