名物賃貸・高円寺アパートメント8年の軌跡。「住人同士は“ご近所さん”、その距離感が心地いい」マルシェ・食事会などで育てた日常は今

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「住む前はそういった活動には消極的だった住人の方も、『他人と関わるのが嫌なら、他人じゃなくしてしまえばいい』と、積極的に関わってくれています。

その方はライターという仕事を活かして、『勝手に高円寺アパートメント』っていうフリーペーパーをつくってくださったんですよ。しかも自費で。そのうち印刷代を他の1階の店舗の方々がカンパしてくださるようになりました」

まめくらし研究所
「くらしのおすそわけ」をコンセプトにした雑貨店「まめくらし研究所」は、宮田さんが「気軽に立ち寄れる場をつくりたい」と始めた雑貨店。みんなが自由に過ごす「開かれたのリビング」のような役割も担っている。「まめくらし研究所」のほか、自家製ビールとスパイスカレーを提供する「アンドビール」やフルーツサンドが名物の焙煎コーヒー店「JULES VERNE COFFEE」などのテナントがある(写真撮影/相馬ミナ)

入居8年で、広がり続ける「ご近所さん」が日常を彩る

入居開始から8年たち、当初は子どものいる世帯は1組だけだったが、現在は10組程度へと増加。子どものいる世帯が増えると自ずと付き合いの親密度は加速した。

「例えば、2人目が生まれるタイミングで、私含め住人同士で上の子の保育園の送り迎えを分担したり。ベビーゲートも、使い終わったら次の家庭におさがりが回って、何人の赤ちゃんを守っていたか(笑)」

そのうち、「他にはないコミュニティのある集合住宅」としてメディアで取り上げられることが増え、こうした人付き合いを求めて入居してくる人も増えてきた。

例えば地震が多発した時期には、住人の方からの要望があり、専門家を招き「防災ワークショップ」を開催。備蓄や避難、連携方法について話し合い、住人有志で「防災マニュアル」を作成。定期的に行う防災訓練では、普段あまり顔を出さない住人も参加し、顔見知りを増やすきっかけになっている。

「マルシェのほかにも、流しそうめん、お花見、餅つき、バー企画といろいろ。お子さんがいる住人が発起人となり2〜3カ月に一度行う『定点撮影会』は、家族の成長記録にもなっています」

コロナ禍では、マルシェなど各種イベントの開催は難しかったが、このアパートメントの強みも実感した時期でもあったと宮田さんは振り返る。

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