名物賃貸・高円寺アパートメント8年の軌跡。「住人同士は“ご近所さん”、その距離感が心地いい」マルシェ・食事会などで育てた日常は今
コミュニティの在り様にも惹かれた。
「私たち2人だけで暮らす、という感じじゃないのがいい。(一般的な賃貸住宅のように他の住人との交流を持たず)暮らしが2人だけに閉じているんじゃなくて、他の住人にも開かれた環境っていいなぁ、って思ったんです」(さおりさん)
最初に参加したのが、高円寺アパートメントで開催している「蚤の市」(マルシェ)を開くための住人たちによる作戦会議。
「といっても、私たちはぜんぜん戦力にはなりませんでした。ほかのみなさんが『こんなふうにレイアウトをしたほうが動きやすいんじゃないか』とか、『じゃあ、宣伝のPOPは私が描きますね』と会議を進めるのを横目に、2人してお菓子を食べているだけでした(笑)。
『え、この方たち、イベント会社のスタッフじゃなくて、住人なの?』ってびっくりしたんです」(まさひろさん)

「ご近所さん」がいる日常
「今も私たちは集まりに毎回参加しているわけではないんですよ。ただ、お隣さんが、自分のユーカリの木を剪定した枝を『ご自由に持って行ってください』とお庭に置いているのを見て、あ、そういう交流なら私たちもできるな、って思ったんです。
私たちも庭で採れた野菜やハーブを自由に持って帰ってもらったりするようになりました。そうしたら、お礼にお菓子をもらったりして、わらしべ長者みたいなんですよ(笑)」(さおりさん)


「引越し直後に、お隣さんから『おはようございます』って挨拶されたのが凄く印象的で。これまでの賃貸では隣に住んでいる人がどんな人か全然知らなかったですから。お隣のお子さんのお友達が、庭から部屋に『遊ぼう♪』って声を掛けているのを見て、なんかいいなぁって思ったんです」(まさひろさん)