「転売ヤーのアカウントを停止しろ」「第3段ないかもってまじ?」 “ちいかわ”付きハッピーセットの転売で、マクドナルドが抱える《4つのリスク》

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2010年代には、アイドルグループAKB48のCDを握手券や総選挙の投票券を付けて販売したが、ファンが1人で複数枚のCDを購入するという現象が起きた。この手法は「AKB商法」として批判を集め、券を抜いたCDが大量廃棄されたり、二次流通市場に流れたりする事態も起きた。

特典のほうが商品より価値を持ってしまうのは本末転倒ではあるのだが、消費市場が成熟した社会では、消費者はモノの機能的な価値よりも、付随的な価値やストーリー性で商品を購入するようになるのは、一般的な傾向だ。企業側も、後者を訴求するようなマーケティング活動を行うようになる。

企業としても、多少の弊害が想定されても、成功する可能性が高い企画をお蔵入りにすることは機会損失を招く。

このたびのハッピーセットで起きた事案は、「特典の転売」という新たな問題が加わっている。さらに、その事実がSNSを通じて拡散され、企業側が批判される事態も起きた。これは、フリマサイトやフリマアプリ、SNSが普及しているデジタル時代ならではの現象だ。

今回のような特典争奪戦は、古くて新しい問題と言えるだろう。

ちいかわ
メルカリで転売されている「ちいかわ」の特典(画像:メルカリのサイト画面より)

想像以上に深刻な「特典争奪戦」の弊害

短期的には売り上げが伸びるかもしれないが、悪影響も出てきてしまう。具体的には、下記のようなことが起きている。

1. 店舗の混雑を招く
2. 買い占めが起きることで、既存顧客が商品を購入できなくなる
3. 食品ロスが起こる
4. レピュテーション(評判)リスクが顕在化する

反響が大きければ大きいほど、その反動で新たな問題が発生してしまう。ハッピーセットは子ども向けの商品だけに、大人の「転売ヤー」が買い占めて本来の顧客が購入できなくなってしまうのは本末転倒だ。

ハッピーセットを購入する顧客が殺到して、スタッフ側のオペレーションに影響が出たり、他の顧客の待ち時間が長くなったりするという問題も発生する。

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