「転売ヤーのアカウントを停止しろ」「第3段ないかもってまじ?」 “ちいかわ”付きハッピーセットの転売で、マクドナルドが抱える《4つのリスク》

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今回のケースは、あきらかに転売ヤー側に非がある。マクドナルドを批判するのは適切ではない。

ただし、上記のようなさまざまな問題が起きてしまった以上、マクドナルド側も何らかの対抗策を講じる必要がある。

ちいかわ
第2段で予定されている特典(画像:日本マクドナルド公式サイトより)

マクドナルドが取りうる「対策」

転売や食品廃棄の問題は、法律的にもグレーゾーンのようだし、法律で利用者の不適切な行動を抑制していくことは、実効性を考えても困難であるだろう。

フリマサイトやフリマアプリ側が転売防止の対策を取ることは重要ではあるものの、これまでもさまざまな転売防止対策が取られてきたが、イタチごっこになっている状況を考えると、プラットフォーム側で完全に防止できるかどうかはわからない。

転売ヤーはさほど儲かっていない――という報道もある。特典4種が揃ったセットの転売価格はさまざまだが、2500円程度で落札されているものが多かった。一方、ハッピーセットは最安で510円。アプリ利用料や送料を差し引くと、ほとんど利益は出ていないようだ。

これが事実だとすると、転売目的で購入して、食品を廃棄して特典だけ入手するやり方は費用対効果が悪く、文字通り「おいしくない」方法ということになる。

経済合理性という点から、今後は転売が抑制されていく可能性も高い。

マクドナルド側も、購入できる上限を4セットから1、あるいは2セットに制限する、あるいは対象者を子連れに限定するといった、比較的シンプルな対応を取ることで、十分な効果を上げる可能性もありそうだ。

筆者は飲食チェーン数社の株主で、店舗で株主優待券を利用することも多い。店舗によっては、スタッフが十分に対応できないことも多いのだが、マクドナルドの店舗は上手く対応してくれることが多い。

多数の店舗がある中、それぞれで適切な対応を取るには、オペレーション上の課題も大きいとは思うが、それが実現できれば、マクドナルドの評判を上げることができるのではないだろうか。

今回は反響が大きかっただけに反動も大きかったのだが、筆者としては、第3弾は中止せず、うまく対応して、反響を最大化しつつ反動を最小化して乗り切ってほしいと願っている。

西山 守 マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授

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にしやま まもる / Mamoru Nishiyama

1971年、鳥取県生まれ。大手広告会社に19年勤務。その後、マーケティングコンサルタントとして独立。2021年4月より桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授に就任。「東洋経済オンラインアワード2023」ニューウェーブ賞受賞。テレビ出演、メディア取材多数。著書に単著『話題を生み出す「しくみ」のつくり方』(宣伝会議)、共著『炎上に負けないクチコミ活用マーケティング』(彩流社)などがある。

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