"名作落ちゲー"はどうやって誕生したのか? 「テトリス」への憧れから「ぷよぷよ」が生まれた《キーワード反転》の発想術

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何度も繰り返すなかで辿り着いたのは、きわめてシンプルな操作体系だ。全体の仕組みや世界観はソフトにするが、操作はシンプルでソリッドでいいのだ。2匹のぷよぷよがボタンを押すと回転する。

この操作体系をやってみようと提案したとき「いや、これ最初のころに試しましたよ」と言われた。「でも、そのときとは、他の部分がだいぶ変わってるから、これにもどすことでイケルと思うんだ」とぼくは言った。確信はなかったけど、「ゲームつくるときあるある」だ。

半信半疑だけど実装してもらう。やってみるとイケタ! 一直線で消えるのではなくて、色のつながりでぐねぐねと(ソフトだ)連なっても消えるという仕組みと、シンプルな操作体系がうまくマッチした。

そこからは、目指す道が見えた。試行錯誤したたくさんのギミックのなかからベストマッチするものを組み合わせてつくり上げていった。

アンチ大作という方法論

カーバンクル、アルル、サタンさま等、『ぷよぷよ』に出てくるキャラクターたちは、『魔導物語』というゲームにすでに登場していた。『ぷよぷよ』の2年前、1989年11月7日に『魔導物語』が発売。RPGを初めて企画監督した。

当時、つぎつぎとRPGの大傑作が登場していた。1984年『ハイドライド』、1986年『ドラゴンクエスト』、1987年『イース』、1987年『ファイナルファンタジー』、ああ、いま思い出してもワクワクする。ハマった。夢中になって遊んだ。

だが、傑作をマネたつまらない作品もつぎつぎと出ていた。広告もひどかった。「5万エリアを超える広大なマップ!」「登場モンスター80種類以上!」「25種類のパラメータで精緻な設定!」みたいな意味不明な数字合戦。大作であることを謳った勘違い広告が目についた。

ぼくがRPGを好きなのは、そんなところじゃない。おもしろさはもっと違うところにあるんだ。その想いが、勝手な広告を脳内に妄想させた。

「マップは狭い! 登場モンスターは少数精鋭! パラメータ表示なし! BGM3曲ちょい!」

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