"名作落ちゲー"はどうやって誕生したのか? 「テトリス」への憧れから「ぷよぷよ」が生まれた《キーワード反転》の発想術

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『テトリス』の一番重要な「ソリッド」を反転させることで、『テトリス』の二番煎じから脱出できる。ソリッドを反転させてソフトにしよう。やわらかな落ちゲーをつくろうと考えた。

A4に書いていたキーワード群の意図が、オセロの後半戦のようにバタバタと反転する。そう決断したときに、脳裏にあるキャラクターが浮かび上がっていた。

『ぷよぷよ』の世界観をつくる

「ソリッド」を反転させて「ソフト」にしたことで、コンセプトが完成した。が、そうなってくると、どんなキャラクターを出すのか。実はここが大問題だった。

会社的には『どーみのす』をちょっと整えて完成させようと考えているのだ。新たにデザイナーを稼働することは考えていない。もともとのデザイン担当者は、もう次の仕事にとりかかっている。

しかも、コンセプトを「ソフト」にしたのだから、キャラクターは「棒」みたいな描きやすいものではなく、設定があって、ユニークな「何か」にすべきだろう。ラフ画を描いてもらう余裕もないし、新しいキャラクターを生み出してもらう余裕もない。新しい世界観が必要だが、その余裕もない。

奥の手だ。実はコンセプトを「ソフト」にしようと決断したとき、ぼくの脳裏には、あるキャラクターが浮かび上がっていた。RPGゲーム『魔導物語』の雑魚モンスターだ。

『魔導物語』。1989年コンパイル。『ぷよぷよ』の前に作った3Dダンジョン型ロールプレイングゲーム。『ぷよぷよ』の世界観やキャラクターは『魔導物語』から持ってきている。米光が企画監督したのは『魔導物語1-2-3』。それ以降あれこれシリーズ化し、2024年には『魔導物語フィアと不思議な学校』がリリースされた(米光は、世界観設定アドバイザーとして参加)

『魔導物語』は、米光が監督企画脚本を担当した3DダンジョンRPGだ。1989年に発売した。魔法を修行しているアルルという少女が主人公で、世界を救ったりはせず、しもやけの薬を探しに行ったり、嫉妬した女性に追いかけられたりする日常ドタバタ冒険物語だ。

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