"名作落ちゲー"はどうやって誕生したのか? 「テトリス」への憧れから「ぷよぷよ」が生まれた《キーワード反転》の発想術

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会社を休んで、『テトリス』を遊んだ。やー、やっぱおもしろい。遊んでいるだけでは、どうにもならないので、遊んでは、思いついたことをメモしていた。そうすれば、これはただ遊んでいるのではないのだ、研究しているのだ、仕事だと思える。会社休んでおいていまさらなんだが、まあ、罪の意識として、せめてメモでもとっておくよ、という感じだった。

『ぷよぷよ』誕生

『テトリス』から連想するキーワードを書いたり、『テトリス』を分解して言語化してみたり、いたずら書きをしたり。A4のコピー用紙に書いていたのだが、その紙が埋まったあとに、また改めて、イッキに「テトリス・キーワード」を書いてみた。

とにかくたくさん書き出すことにして、落書きハイとでもいえるような状態に自分を追い込んだ。がんがん書いた。書いた紙を眺めた。

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テトリス・キーワードのメモ

『テトリス』、すごい。よくできている。スキがない。『テトリス』に続くゲームを作ろうとすると、『テトリス』に近づいていく。『テトリス』になってしまう。じゃあ、どうすればいい。

『テトリス』、一番の背骨を抜こう。テトリス・キーワードを眺めていると、全体を貫いているキーワード背骨は「ソリッド」だと気づいた。

プレイヤーが操作するのは、器用にアニメーションするキャラクターではなく、味もそっけもない硬いブロックだ。まっすぐ一直線にならべば消える。幾何学的な理屈がむき出しになった画面。数学パズル的なおもしろさ。そういった硬質なイメージ、ソリッドさが『テトリス』の魅力だ。そのソリッドさに衝撃を受け、大好きになったのだ。

ソビエト連邦のコンピュータ科学者アレクセイ・パジトノフが1984年に考案した落ちものパズルゲームの始祖であり傑作『テトリス』。さまざまな形のピースをはめていく箱詰めパズル「ペントミノ」をもとにして、ピースが降ってきて隙間なく埋めるゲームをつくるが、あっという間に画面がいっぱいになり終わってしまうので、「一段隙間なく埋まると消滅する」というしくみを追加した(Tetris ® & © 1985~2025 Tetris Holding.)

だからこそ、「ソリッド」を捨てるべきだ。背筋に電流が走った(ように感じた)。

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