自動車、大豆、コメ…「日米通商交渉」の現在地。参議院選挙が足かせ、決断できぬ日本政府
非関税の面で俎上に載るのは、米国車の輸入ハードル緩和だ。日本で売る場合、安全検査を日本側でやり直さなければならない。検査が共通化されていないためだが、米側は不満を示している。
ただ、どう緩めれば納得させられるか答えは見えない。実務に携わる官僚は「琴線に触れそうなメニューを考えようとしているが、そもそもハードルを下げたらアメ車が売れるのか」といぶかしがる。経済官庁では「公用車に採用するしかないのでは」との皮肉まで漏れる。
メニューの中身以外にも懸念はある。事務方や閣僚の練り上げたメニューが、最後にトランプ氏にちゃぶ台返しされるリスクだ。与党幹部は「展開がわからない」と周囲にこぼしている。
「農業票」への影響
交渉では、今月2日から事務レベル協議が始まり、閣僚協議を集中的に行うタイミングが「5月中旬以降に来るのではないか」(赤澤氏)とされる。

それを踏まえ、6月半ばにカナダで開かれるG7サミットに合わせ首脳同士の大枠合意に至るシナリオへの期待感も漂う。が、日本国内に目を転じれば、その時期は参院選直前。自民党は4月下旬に「農林水産品を犠牲にするような交渉方針は断じて受け入れられない」と明記した決議を政府に提出しており、「農業票」への影響に神経をとがらせているようにも映る。
こうしたことを踏まえてなのか、2度目の閣僚協議後、赤澤氏の言葉選びは慎重だった。「国益をしっかり守りながら、できるだけ早く」「ゆっくり急ぐ」──。内憂外患がしばらく続きそうだ。
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