「うちの子、教科書読めてる?」小島慶子のオーストラリア移住から学ぶ、読解力育成の新常識

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長男の場合は、もともとあわてんぼうで、スペルの読み落としや書き飛ばしなどのミスをしがちでした。しかし学習コーチに相談したところ、どうすればミスをしにくくなるのか、頭に入れやすくなるのかを具体的に知ることができました。

第二言語を習得する時には、「自分はこの言葉が話せない」というところからのスタートで、いわば自身の不全性を前提に言葉と付き合うことになるので、本人も周囲も「理解できているはずだ」という思い込みを持ちにくくなります。学習につまずいたときに適切なサポートに繋げられたのも、そうした前提があったからです。

「読解力」の定義を問い直すべき

日本は、社会全体が日本語を母語とする人を前提としてデザインされています。日本人なら誰でも日本語ができると信じられています。でも今後、日本語を母語としない人がもっと増えれば、「生活言語と学習言語は異なる」ということが顕著になるでしょう。

そうなった時には、外国人だけでなく、日本人の子どもたちにも、実は「読み解く力」を基礎からきちんと教えることが必要だったということがわかるのではないでしょうか。

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本書のテーマでもある「読解力」という言葉を、もっと厳密に定義していく必要もあるでしょう。

読解力は「文学作品のように幅広い解釈ができる文章の内容を、想像力を使ってくみ取る力」だと思われていますが、実は「解釈の幅がなく、本来誰が読んでも同じ意味である文章を、誤読しないための理解力」がとても重要なのですね。

それこそが、本書のタイトルでもある「シン読解力」。従来のものとシン読解力との両方がなければ、うまく学べない。今後はそれが常識になるといいですね。

日本語“を”学ぶのではなく、日本語“で”学ぶための日本語学習。子供の頃から、文章を正確に理解して読む技術を身につける必要があります。

(つづく)

小島 慶子 エッセイスト、メディアパーソナリティ

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こじま けいこ / Keiko Kojima

1972年、オーストラリア生まれ。エッセイスト、メディアパーソナリティ。昭和女子大学現代ビジネス研究所特別研究員。学習院大学卒業後、TBSに入社。アナウンサーとしてテレビ、ラジオに出演。2010年に独立後は、各メディア出演、講演、執筆など幅広く活動。2014~23年、オーストラリアに教育移住。自身は日本で働きながら、夫と二人の息子が暮らすオーストラリアとを行き来する生活を送る。2017~25年、東京大学大学院情報学環客員研究員。『解縛』(新潮文庫)、『おっさん社会が生きづらい』(対談集、PHP新書)など著書、連載多数。公式サイト:https://keiko-kojima.com/

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