「この空気感、やっぱりいい!」と絶賛も…11年ぶりの《続・続・最後から二番目の恋》から「消えたもの」と「それでも愛される理由」
主人公をこんなふうにかっこ悪く描く展開も、千明が経済的には心配ないまま、いつまでも過去の栄光、ある種の地位や名誉にこだわっていることに気づいて反感を覚える世代への対処のように思う。
そうして、落ち込んだ千明は、深酒をしたすえ、とぼとぼ鎌倉の古民家に帰ってくる。帰りに猫を拾って家に連れ帰る。
酔ってぼんやりして自制がきかなくなると、動きがおぼつかず、ふらふらと荷物を放りだし、あちこち脱ぎ散らかすなど、行動の脈絡がなくなる人間の滑稽さを、小泉今日子が見事に演じていた。
1人暮らしの家に飲んで帰って全裸(実際映してはいない)
慌てて様子を見に来た和平は、千明のあられもない姿を見てあたふた。実にたわいのない艶笑である。

なぜか「エロ本ネタ」だけはたっぷり描く
11年前は、気分が滅入ると千明はおしゃれな服を爆買いしていたが、「続・続〜」ではそれがない。たばこもかっこよく吸っていたが、「続・続〜」では喫煙ルームに追いやられている。後輩に気を使って言葉も態度も抑制されている。
コンプライアンスが厳しい時代、ドラマの表現も制限されているように感じる。そんな中で唯一残ったのが、艶笑だ。
第1シーズンから、妻に先立たれ独身の和平を心配して近所の老人・一条(織本順吉)が何かとエロ本を手渡していた。「続・続〜」ではその老人が亡くなって、娘の律子が和平宛てにしまってあったエロ本を見つける。

相変わらずつきまとう、和平のエロ本愛読疑惑。このエロ本を巡る場面では、中井貴一のあたふたした動きが生き生きしている。
たばこも爆買いもハラスメント的な言動にも気を使いながら、なぜかエロ本ネタだけはたっぷり描く。そこがなんだかおもしろい。いいとか悪いとか目くじら立てることなく、ケラケラ笑って見られる。
『最後から二番目の恋』シリーズが愛され続けているわけは、鎌倉、古民家、カフェ、猫だけでなく、実はこういうところにもあるのかもしれない。鎌倉、古民家、カフェ、猫、艶笑。千明が担当している人気ドラマシリーズは『サレ妻同盟』である。
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