「この空気感、やっぱりいい!」と絶賛も…11年ぶりの《続・続・最後から二番目の恋》から「消えたもの」と「それでも愛される理由」
千明や和平と同世代の視聴者としては、まったく同じような状況や心情であり、大いに共感するだろう。
千明と和平の世代はバブルの恩恵を受けた世代で、経済的には恵まれているから、辞めたあとの生活費はおそらく心配ない。だからなのか、ドラマで焦点が当たるのは主に「生きがい」なのだ。いや、ほぼそれ一点に絞られていると言っていい。

そこにちょっと共感できないと思う世代もいるだろう。なにしろいまや100歳まで続くかもしれない、おそろしく長い老後をどうやって暮らすかが問題であり、千明や和平のように夜な夜なよさげな店で食べたり飲んだりしながら、愚痴や悩みを語り合うことすらできない人たちもいるだろうから。
とはいえ、ドラマの中で、仲のいい異性や気のおけない同性の友人と語り合うことはドリームとして楽しめるのではないだろうか。
全方位に気配りする「巧さ」
「続・続〜」では、和平よりも10歳年上・73歳の医師・成瀬(三浦友和)や、千明と同世代くらいの夫を亡くした女性・律子(石田ひかり)が登場し、物語を盛り上げていく。
成瀬は、1人で生きていくことを選択した強い人も世の中にはいるだろうけれど、自分たちは誰かと一緒でないといられないのだろう、と和平と並んで飲みながら語る。

だから、60代になっても70代になっても恋をするし、誰かと酒を酌み交わすのだ。このドラマは、さみしい大人が誰かを必要としている話なのだが、1人で生きていくことを否定はせず、あくまでも、誰かと生きていくことを選択した人たちの物語であることを強調する。
それが、脚本家・岡田惠和の全方位に気配りする巧さである。
この気配りが発揮されたのは、5月12日に放送された第5話だ。千明が「いろいろあるけど(中略)人生は楽しいのかなあ」
定年後の進路に迷っていた彼女に、ちょっといい話を持ちかけてきた人物が、定年世代からの投資を募る目的で近寄ってきていたことがわかるのだ。
自分はまだまだ期待されているという自負が「いろいろあるけど人生は楽しい」と言わせていたのに、たちまち気分は萎んでしまう。なぜなら、持ち上げれば出資してしまう人と見くびられていたと気づいたから。
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