「この空気感、やっぱりいい!」と絶賛も…11年ぶりの《続・続・最後から二番目の恋》から「消えたもの」と「それでも愛される理由」
ただ第1話で、コロナ禍に千明が罹患し自宅で伏せっているとき、和平が心配してやってきて、部屋に入るとうつるからと一晩中廊下にいて見守る。このエピソードは2人の信頼関係を感じさせる、いい場面であった。
『最後から二番目の恋』が愛された理由の1つは、この千明と和平の関係性にある。つかず離れず、けんかするほど仲がいい、なんでも思ったことを言い合える関係は理想的だ。

アラフィフが抱く「一抹のさみしさ」
そしてもう1つは、第1シリーズではアラフィフだった2人が抱いている、一抹のさみしさ。これまでそれなりに活躍してきたものの、年齢的にこれ以上いいことが起こりそうもないという砂をかむような気持ちは、たぶん同じ年代の誰もが思うことだろう。
だからこそ千明は「ひどいことになったとしても、なんにもないよりいいですよ」と自分を励まし、古民家に引っ越してみたり、第1シーズンで和平の弟で年下のイケメン・真平(坂口憲二)と関係を持ってみたり。無謀なことでも何かしら一歩踏み出そうともがいていた。その行動に「ファンキー」という言葉を使って自らを奮い立たせていたのだ。
そこへ鎌倉、古民家、カフェ、猫という“和み4大要素”が加わって、癒やしのパワーは十全だった。
「続・続〜」でも、鎌倉、古民家、カフェ、猫は変わらない。変わったのは、それ以外の千明と和平を取り巻く状況である。彼らは、ほぼほぼ変わってないけれど、ほんの少しだけ変わっている。喫煙に世間は厳しくなり、

千明は定年を間近に控え、その後の進路に迷っている。まだ、現役でテレビドラマを作っていたいが、年齢的に自分が必要かどうかわからない。老害になっていないか気にかかるし、そもそも自分のセンスがまだ通用するか不安に揺れる。
和平はいったん市役所を辞めたが、再び働き始めている。ただ役職はなくなり、かつての部下・田所(松尾諭)のほうがいまは上。元上司と部下という立ち位置が、お互いの関係性や呼び方を迷わせる。
こういうことをシリアスすぎずユーモアを交えて描いているので、見ていてしんどい気持ちには決してならない。
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