ケンタの“売れ残りチキン”が送られる意外な「再就職先」とは?全国約500カ所で活躍、新宿・歌舞伎町では「親子丼」にリメイクも
実際にチキンが届けられている子ども食堂にも話を聞くことができた。まず訪問したのが神奈川県・東戸塚地区センターで開催されている「多世代地域交流食堂〈みらころ〉」だ。
ある4月の平日の夕方、東戸塚地区センターの広間に響く「いただきます!」の声。ホワイトボードに書かれた「本日のメニュー」は、KFCチキンのトマト煮、エビピラフ(またはビーフピラフ)、大根とキャベツのさっぱりサラダ、和え物、野菜のチキンスープ、そしてデザートだ。
みらころはいわゆる「子ども食堂」で、中学生までは無料、高校以上の学生100円、大人300円で食事を提供している。小学生が30〜40人、中学生も常連を含め10人ほど、そのほか独居のお年寄りや障害のある方数名と、さまざまな世代が集まる(地区センターの利用時間の制限上、利用時間は世代によって異なる)。
食材はフードバンクを通じ企業から提供されたものだが、なかでも人気なのがKFCのチキンだという。

「経済的な理由」以外で人が集まる
みらころ代表の髙木幸氏によると、同団体が活動している東戸塚は、近年、タワーマンションが多くできてきた地域で、比較的裕福な住民も多いそうだ。子どもたちがのびのびできる、いわゆる「児童館」のような場として、子ども食堂を運営しているという。
「ここを自分の『居場所』と感じている子もいると思う。ある中学生の常連の子は、小学校時代の友達に会えるというので通ってきている。また、スタッフや地域の方など、親以外のいろいろな大人と接する機会にもなっているようだ」(みらころ代表 髙木幸氏)
通ううち、「自分で子ども食堂をやってみたい」と考えた子もいる。2024年には、近隣にある川上小学校のあるクラスが、授業で子ども食堂を企画。「ハピネス食堂」を開催し、地域の住民を招いた。調理はみらころが協力したが、食材はSNSで提供者を募るなどして、自分たちで集めたという。

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