"つながり"を取り戻せ、孤独を予防する居場所 深刻な孤立に陥る前にいかに孤独を防げるか

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民家に集まり体操をする高齢者とスタッフ
木造の民家に近隣住民が集まる。隣家には幼児と親が遊べる場も(写真:編集部撮影)
孤独死や陰謀論が社会問題化している。その背後にあるのが、日本社会で深刻化する個人の孤立だ。『週刊東洋経済』11月16日号の第1特集は「超・孤独社会」だ。身元保証ビジネスや熟年離婚、反ワク団体など、孤独が生み出す諸問題について、実例を交えながら掘り下げていく。

地域のぬくもりを復活

週刊東洋経済 2024年11/16号(超・孤独社会)[雑誌]
『週刊東洋経済』2024年11月16日号。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。定期購読の申し込みはこちら

[文京区]こまじいのうち

東京都文京区の本駒込。朝、古い民家が立ち並ぶ一角から、にぎやかな声が響いていた。

「手も足もいうことを利かなくなってねえ。口は達者なんだけど」

「バジルソースにはニンニクよ。匂いはきついけど」

たわいのない会話に花を咲かせているのは、地域に暮らす70代から90代の女性たち。夫と死別するなどして、今は一人で暮らしている人がほとんどだ。

10時20分になると、スタッフが前に出た。「では始めましょう。今日もよろしくお願いします」。その日のプログラムは体操。手を上げ、足を揺らし、指を動かした。

NPO居場所コムが運営する「こまじいのうち」がオープンしたのは2013年。もともと下町の人情豊かな土地柄だったが、高度成長期に人口流入が加速し高層マンションが増えると、地域のコミュニケーションが希薄化した。

「昔のように、誰でも気軽に立ち寄れて、お茶でも飲みながら歓談できる場所があるといいなあ」。そんな地域の声を受け、空いていた部屋を提供したのが代表理事の秋元康雄さんだ。「地域のぬくもりを取り戻したかった」という。

秋元さんの取り組みは行政のニーズにもかなった。地域で暮らす高齢者たちの近況情報をいち早く捕捉できるからだ。いつも来ていた人が来なければ、すぐに異変に気づける。移動が困難になりつつある人は、社会福祉協議会と連携して介護保険サービスにつなげることができる。この日は体操だったが、スマホ教室やおしゃべりカフェ、こども食堂になる日もあり、多世代交流の場になっている。

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