「陰謀論」にハマる人が後を絶たない根本原因 フェイクニュースとの違いは何なのか
Q 陰謀論とは何でしょうか。
ある事件や出来事について、通説とは別に、策謀や謀略によるものであると解釈する考え方だ。普通の人は決して触れることができない秘密のたくらみによって政治的、社会的決定がなされている、と考えることをいう。
陰謀論は2010年代以降、世界各国を揺るがすようになった。アメリカでドナルド・トランプ大統領が誕生したり、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが起きたりと、大きな社会変動が起きるたびに陰謀論が生まれ、はびこる。
コロナワクチン接種が始まったときには「(マイクロソフト創業者の)ビル・ゲイツが、ワクチンにマイクロチップを埋め込んで人々の行動を捕捉しようとしている」といった陰謀論が広がった。
ソーシャルメディアで広がる陰謀論
陰謀論は伝統メディアではなく、インターネット上のソーシャルメディアで広がる傾向がある。ソーシャルメディア上だけなら実社会に大きな影響は出ないが、現実社会に悪い形で表れたのが2021年1月のアメリカ連邦議会襲撃事件だろう。暴動を起こしたのは前年の大統領選挙を「不正選挙」と唱えるトランプの支持者たちで、その首謀者の一群は「Qアノン」と呼ばれる陰謀論を鵜呑みにしていた。
Qアノンは、2018年ごろからネット上で台頭した陰謀論の総称で、最大の特徴は「ディープステート(DS)」と呼ばれる闇の秘密結社が世界を裏で操っていると主張する点にある。DSはバラク・オバマ元大統領やヒラリー・クリントンといった民主党の政治家やリベラル系著名人らで構成されているという。DSメンバーには悪魔崇拝者や小児性愛者があまたおり、一般人の見えないところで幼児の人身売買に関わっているという。