「親離れができなかった男の子」が”仲間”と川遊びやスイカ割りを楽しめるようになった理由――遊びで育まれる子どもの適応力

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文部科学省の調査によると、野外活動の経験が豊富な子どもほど、非認知能力が高い傾向にあるとされています。特に自己肯定感との関連が強く、これは自然のなかでの体験が「やればできる」という自信につながり、新しいことに挑戦する意欲を育んでいくからだと考えられています。

たしかに外遊びには、季節によって変わる木々の葉の色、踏みしめる土の感触、聞こえてくる虫たちの声など、子どもたちの五感を刺激する要素にあふれています。

“野性的”なキャンプで得たもの

私は都会っ子でしたが、幸いボーイスカウトでさまざまな野外活動を経験してきました。

今では笑い話ですが、当時は本当に“野性的”なキャンプをしていました。キャンプ場ではない森の中に野営するときは、トイレさえも自分たちでつくっていきます。

スコップで穴を掘るのですが、大事なのは風向きを考えて設置場所を決めること。もし、テント方向に風が吹く場所にトイレを作ってしまうと……その結果は想像に難くないでしょう(笑)。

もちろん、火を使うかまども手作りです。鶏をさばいて命をいただく大切さを学んだり、オリエンテーリングで地図読みの技術を磨いたり。今のようにワンタッチで組み立てができてしまうテントなどない時代、ロープとペグで丁寧に設営したテントで寝泊まりします。

ときには極寒のサバイバルキャンプも経験しました。明け方は氷点下、当時の性能の悪い寝袋では、厚着して寝ても冷気が伝わり、ガタガタ震えがきます。

でも、寒い夜に焚き火を囲んで先輩たちと語り合ったのは、いい思い出です。焼き芋やマシュマロを焼きながら、恋愛のことや将来の夢のことなど、いろんな話を聞かせてもらいました。

深夜になると、「夜襲」という遊びが始まります。これは班ごとの対抗戦で、他の班のテントのペグを、気づかれないようにこっそり抜いていくのです。

そして、最後の最後に重要なペグを一気に抜くと、パタンとテントが倒れ、眠っていた仲間はびっくり!という少々乱暴な遊びでした。やられた班は、次のチャンスに仕返しを試みます。もちろん暴力は厳禁。駆け引きと技術の勝負でした。

似たようなイタズラとしては、落とし穴作りが私の得意技でした。スコップで掘った穴の上に枝を渡し、新聞紙を敷いて土をかぶせる。まったくわからないように偽装して、うまく誘導してガクッと……。知恵と工夫の結晶で、KBCのサマーキャンプで子どもたちに作り方を教えたら、大盛り上がりでした。

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