「親離れができなかった男の子」が”仲間”と川遊びやスイカ割りを楽しめるようになった理由――遊びで育まれる子どもの適応力

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こうした遊びの持つ教育的価値について、保育の世界には「5領域」という考え方があります。「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」という5つの分野で、子どもたちは遊びを通してこれらの力を自然に身につけていくと考えられているのです。

KBC(民間学童保育キッズベースキャンプ)では、学童保育だけでなく、「KBCほいくえん」という保育園も運営しています。

私たちは保育園を子どもたちの「初めての社会」と捉え、保育士や友達との関わり、地域の人々との遊びと交流を通じて5つの力の発達を促していきます。そして、それは小学生年代になっても変わりません。

例えば「人間関係」について考えてみましょう。

学童保育での子どもたちの関係性は、1年生の1年間、2年生の1年間、3年生の1年間と年齢を重ねるごとに変化し、成熟していきます。1年生が2年生になり、3年生になり、新しく入ってきた1年生と交流する。

上級生として下級生と遊び、面倒を見ながら、ときにはケンカもする。異年齢で遊ぶ日々の積み重ねのなかで、少しずつ人間関係が成熟し、同時に使う言葉、表現についても学んでいくのです。

KBCで過ごす放課後時間では、子どもたちが自分たちで遊びを決め、ルールをつくり、問題が起きれば話し合って解決していきます。

もちろん、時間の制約があるときや、話し合いがまとまらないときは、キッズコーチから提案を投げかけることもあります。ただ、それも子どもたちの主体性を邪魔するものではなく、「じゃんけんで決めてみる?」「このゲームでやってみない?」など、新たな遊びを追加する形で行われています。

遊びのなかに自立のきっかけがある

「環境」への適応力も、遊びのなかで育まれていきます。ある年のサマーキャンプで印象的な出来事がありました。

親離れができず、バスの出発時から泣いていた1年生の男の子。いつもは他の子に頼りがちな甘えん坊でしたが、虫取りという好きな遊びをきっかけに、徐々に環境に馴染んでいったのです。

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