「親離れができなかった男の子」が”仲間”と川遊びやスイカ割りを楽しめるようになった理由――遊びで育まれる子どもの適応力

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キャンプ場に着いた初日は「やっぱり帰る」と泣いてばかりだったのですが、その夜、キッズコーチと一緒に近くの林の中に虫取りのトラップを仕掛けました。

翌朝の楽しみができて気持ちが切り替わった男の子、残念ながら虫取りのトラップに狙っていたカブトムシやクワガタの姿はありませんでした。でも、キャンプ場の原っぱでカマキリやバッタを見つけることに成功。

それを境に表情が明るくなり、川遊びやスイカ割り、キャンプファイヤーにも積極的に参加し、最後には「楽しかったな、明日で帰っちゃうんだ」と、寂しそうに話すまでになったのです。

この2泊3日の遊びの経験は日常生活にも影響を与え、キャンプ後は身の回りのことを自分でするようになったと保護者の方から報告がありました。今いる環境に合わせ、自分で準備をする。そんな小さな自立の一歩を踏み出せたのです。

「言葉」や「表現」の力も遊びのなかで育ちます。

子どもたち同士の話し合いの場面では、自分の意見を伝え、相手の考えを聞く。意見が対立したときは、じゃんけんやゲームで決めるなど、子どもたちなりの解決方法を見つけ出していきます。

このように、子どもたちは遊びを通して非認知能力を育んでいきます。アメリカ国立小児保健・人間発達研究所(NICHD)の追跡調査でも、言語・知的能力・社会性など子どもの発達には、大人のポジティブな関わりが重要だと指摘されています。

大切なのは、大人が必要以上に介入しないこと。子どもたちの意欲や行動を引き出し、そのプロセスをほめて、さらなる主体性と自己肯定感を養うこと。子どもたちの考えを尊重しながら、ときには見守り、ときには支援する。

遊びのなかで育まれる1人ひとりの個性を伸ばしていきましょう。

外遊びが育む生きる力

「あっ、この匂い、雨が降りそう」

あなたも時々、そう感じることがあるのではないでしょうか? 私の息子たちも、子どもの頃、ポツポツと数滴の雨が降り始める直前、風の冷たさや空気の匂いの変化に気づき、空を見上げていました。

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