「低所得世帯の子は友達と遊ぶことすらできない⁉」 "体験格差"より深刻な小学生の放課後の分断、課金ゲーム化する子どもの学び

ソニー生命保険が2024年3月に発表した子どもの教育資金に関する調査によると、「学校外教育費」が、子ども1人当たり月に平均1万7593円と、この項目について調査を始めた2015年以降、過去最高額になった。
学校外教育費とは、スポーツや芸術などの習い事、家庭学習、教室学習(塾)などにあてる家庭の支出のこと。未就学児は平均で9218円、小学生は1万8914円、中高生は2万5675円だった。とりわけ、未就学児は2015年と比べて2倍、小学校低学年も1.8倍まで増えている。
教育競争の過熱により、学校のお勉強以外の部分の学びまでをも含んだ広い意味での教育が課金ゲーム化している。
一方で、「チャンス・フォー・チルドレン」という団体が2023年7月に発表した「子どもの『体験格差』実態調査最終報告書」によれば、下記のように、低所得世帯において、継続的な習い事や単発で行う体験活動の機会が少ないことがわかっている。
●世帯年収300万円未満の家庭の子どもの約3人に1人が、1年を通じて学校外の体験活動を何もしていない(スポーツや文化芸術活動、自然体験、社会体験、文化的体験)。
●世帯年収300万円未満の家庭の子どもにおける学校外の体験がない割合は、世帯年収600万円以上の世帯と比較して2.6倍高い。

このように、家庭事情によって子どもの体験機会に格差が開いていることを、昨今「体験格差」と呼ぶようになっている。
高所得世帯の子どもたちの放課後満足度は低い
国立青少年教育振興機構が2024年3月に発表した「青少年の体験活動等に関する意識調査(令和4年度調査)」では、世帯年収200万円未満と1200万円以上の両極において、放課後や休日の過ごし方の満足感が低い傾向が報告された。高所得層で満足感が減るのはなぜか。理由の考察はないが、興味深い。もしや、あれもこれも「やらされすぎ」なのではないか。
ある民間学童のスタッフは、いまの子どもたちはあれこれやらされすぎで大変そうに感じると証言する。その学童にはさまざまな習い事への送迎サービスがあり、利用者が多い。そのほかにもさらに複数の習い事をかけもちしている子どもが少なくないという。
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