「強い職場」に共通する30代の活かし方[第3回]--30代社員が変わり、強い職場になるために
2つ目は、「縦のかかわり」だ。これは、上司・先輩とのかかわりである。現場での行動が変わる人と変わらない人の大きな違いに、上司との信頼関係が挙げられる。上司との信頼関係がある人は変わりやすいし、信頼関係がない人は変わりにくい。
上司との信頼関係がない人は、組織にとってプラスの影響を及ぼす行動を取ろうとした際も、「上司のためにやっているわけではない」「行動を変えたことに対して、とやかく言われるのも面倒だ」といった感情が働くからであろう。
また、行動したとしても、頭ごなしに、「なんで今、そんなことをやる必要があるのだ!」などと信頼していない上司から指摘されたならば、「もう、二度と行動するものか」と否定的な感情を持って終わってしまうに違いない。
逆に、上司との信頼関係があった場合、育成プログラムで学んだことを上司に報告し、上司はよきサポート役となる。上司と本人は「行動を起こす」ということに対して一緒に歩む存在となる。縦のサポートは、本人の行動変容には大きな力になることは間違いない。
3つ目は、「外のかかわり」だ。組織内にいると、組織の常識に染まってしまうことがある。たとえば、アクションプランについて、本人も上司も精度高くアクションプランを立てたつもりでいても、まったく具体的ではないことがある。
また、たとえば、受講者が「人を信用できない」という課題を克服しつつ行動しようとしているような場合、縦のかかわりだけでは、課題の改善につながらないこともある。上司の育成スキルにもバラツキがあるからだ。このようなときは、第三者で客観的な視点を持った外部のかかわりが有効である。現場での行動において、外部の人が継続的にサポートしていくのである。
客観的な視点から、自分の影響力や、強み、弱みをフィードバックすることは、自分を見つめることにつながる。気づきや行動変容を起こすために、自分を見つめるプロセスは欠かせない。自分のことを客観視するためにも、客観的な立場の人の支援、外のかかわりを受けることが望ましいのである。
これらの3つのかかわりをもって、壁を乗り越えることをサポートしていく。3つの壁を乗り越えたとき、本人には自信と自覚が芽生えているのだ。
そして、30代社員に大きな変化が見られたとき、強い組織につながっていくのだ。
吉田実 よしだ・みのる
株式会社シェイク代表取締役社長、2003年シェイク入社、09年より現職。社長業の傍ら、ファシリテーターとして年間100本以上の育成プログラムのファシリテートを務める。現場に立ち人材育成を手掛ける中で、30代に起こっている現状を問題視するようになる。数々の経営者、人事担当者の声を聞きながら、育成プログラムを開発。著書に『「新・ぶら下がり社員」症候群』(東洋経済新報社)。
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