「強い職場」に共通する30代の活かし方[第3回]--30代社員が変わり、強い職場になるために
したがって、人材育成は、研修という2日程度の枠で考えることは望ましくないだろう。現場での実践や、その後の自覚までを含めて、人材育成を設計しないと、2日間だけの気づきの場を提供するだけでは、意識変革だけの施策になってしまうリスクがある。
通常2日程度で実施しているものを「研修」と呼ぶならば、「研修」という枠を超えた長期的な「育成プログラム」が必要になるのである。
人が変わるための「3つの壁」
第1回、第2回の連載で、30代が変わることが組織に大きな影響力を与えることを書かせていただいた。それは、実際に組織に大きな影響力を発揮している30代社員がいるからだ。ただ、そのような人も、最初から意識が高かったわけではない。しかるべきプロセスを経て、組織に大きな影響を与える存在に変わっていったのだ。
人材育成を通じて、人の意識が変わっていく過程で、3つの壁がある。
1つ目は、「気づきの壁」だ。たとえば、2日間のプログラムを通じて、その後の行動に影響を与える「気づき」を得ていないと話にならない。それも、表面的な気づきではなく、腹の底から納得している気づきを得ていることが重要である。
2つ目は、「現場の壁」だ。「よし、明日から現場で行動しよう。組織活性化のために、まずは、挨拶をすることから始めよう!」と意欲的に現場に繰り出してはみたものの、盛り上がっているのは自分だけで、挨拶をしても誰も挨拶を返してくれない。「あいつは研修でおかしくなったのではないか」というような白い目が自分に突き刺さる。
揚げ句の果てには、職場をよりよくしようと上司に提言をしてみたら、「そんなことをしている暇があったら、与えられているプロジェクトをもっとしっかりこなせ!」と言われる始末。このような状況下では、いくら2日間のプログラムで「気づき」を得てきても現場で行動することは難しい。