ハリウッドどうした!?日本をはじめとするアジア諸国の台頭で、変わる「映画の勢力図」を業界誌記者が解説
『RRR』は、ハイデラバードでテルグ語を使用して制作されたので、“トリウッド映画”。1998年に公開されて、日本で最初のインド映画ブームを巻き起こした『ムトゥ 踊るマハラジャ』(1995)は、チェンナイでタミル語を使用して制作されたので、“コリウッド映画”。
そして、インドで歴代興収1位(当時)の大ヒットを記録したコメディドラマ『きっと、うまくいく』(2009)がムンバイでヒンディー語を使用して制作されたので、“ボリウッド映画”となります。
インドの公用語はヒンディー語ですが、方言を含めると約600もの言語が話されているとのことですので、異なる地域で制作されたインド映画を見比べてみてください。
洋画メジャーによる邦画製作
映画業界でもローカライゼーション戦略という言葉をよく聞きますが、何をすることか皆さんご存じでしょうか。
ローカライズとは、海外進出する際に商品やマーケティング方法を現地の文化や地域性に対応させて行うことです。
映画において、ローカライズというと、洋画メジャーの日本法人が、映画配給や製作において言語やポスター、予告編、パッケージデザイン、表記などを日本の文化や規制に合わせたものにし、経営においては現地の人々を雇用し、商習慣に倣ってビジネスを運営していくことです。
洋画であれば、映像・音声・言語の3要素で構成され、言語を鑑賞される国や地域の言葉に翻訳し、ビデオフォーマットをその地域の仕様に正しく変換することです。
以前であれば、ポスターデザインも予告編も本国で制作されたものを日本語に翻訳するだけでしたが、ローカライズが進むと、作品やスタジオによりますが、日本独自のポスターデザインや予告編制作が活発になりました。
翻訳しただけでは違和感を覚えたり、作品の内容や見どころが伝わりにくかったりしたのですが、日本人に合わせて制作することで、興行成績が伸びる例が出てきたからです。
わかりやすい例でいうと、ファミリー映画であれば、字幕ではなく、映画本編中の標識や建物名などの英語表記を日本語またはカタカナに差し替えるようになりました。
子どもと見るファミリー向け映画であれば、吹替版での鑑賞が主流ですが、聴覚だけでなく、視覚でもよりわかりやすくしているローカライズに皆さん気づかれているでしょうか。
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