3年ごとの中期経営計画の作成に注力する企業がはまりがちな落とし穴とは何だろうか?

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組織的に見れば、中計が好まれる理由もわかります。何かないかと上から聞かれて、これをやります、と自ら答えたからには、現場はそれをやらざるをえなくなるからです。

ただ、そうやってできた計画は寄せ集めであって、戦略ではありません

いまや多くの企業が、ステークホルダーとコミュニケートしようと、八方美人的な中計をホームページにアップしています。

こうなると、特徴がなくなってきて、その会社が本当のところ何を狙いとしているのかがまったく読み取れなくなっている

ひどい話とは思いますが、こうして整理してみると、やはり計画は戦略にあらず。ここを誤解してはいけません。

戦略とは何か

では、戦略とは何か。

私は、戦略は、非可分、非可逆、非合理な資源配分だと考えます。

非可分とは、小出しにできないこと。非可逆とは、後戻りできないこと。非合理とは、凡人の理解を超えるということです

中国の河南省に鄭州という都市があります。人口1300万人と、中国ではそれなりに大きな都市ですが、ここにフォックスコンの鄭州工場があります。

これは世界最大のiPhone生産拠点で、35万人が働いています。

地図を見ると、飛行場のすぐ横に工場群があり、その奥に住居施設もあり、部品の組み立てから製品のパッケージまでを一気に進め、世界各地に出荷できる体制になっているのが見て取れます。

日本では、従業員が1カ所に3500人も集まっているような工場は、数えるほどもありません。それが、鄭州では35万人です。

こうした規模の工場を1カ所にどんと作ってしまう(非可分)と、もう後にはひけません(非可逆)し、追随も出てきません(非合理)

これが本物の戦略のイメージです

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