3年ごとの中期経営計画の作成に注力する企業がはまりがちな落とし穴とは何だろうか?

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工場 のこぎり屋根
計画上は右肩上がり、でもふたを開けてみたら前と変わっていない。そして同じ地点から再スタート。そんな中期経営計画を量産していないでしょうか(写真:Flatpit/PIXTA)
神戸大学名誉教授の三品和広氏による、日本企業を事例とした464ケースに戦略を学ぶケース集「経営戦略の実戦」シリーズ(全3巻)と、その集大成の理論編『実戦のための経営戦略論』が刊行された。
総計3000頁を超えるこれらの著作から得られる教訓とは何か。
WDBホールディングスの主催で開催された特別講演会「あなたの経営戦略、本当に戦略になってますか?」の冒頭部分を編集してお届けする。

中期経営計画と戦略はどこが違うのか

日本の企業も、投資家やアナリストといった方々の目線を意識しながら、エッジのきいた戦略を打ち出していかないと評価されない、または世界を舞台として戦っていけない、という状況になっています。

実戦のための経営戦略論
『実戦のための経営戦略論』(東洋経済新報社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

そうしたなかで、戦略らしきものを掲げる会社が増えています。しかし、その戦略は本当に戦略になっているでしょうか

戦略と言うと、我が社には中期経営計画(中計)があると胸を張る方もおられるでしょう。

確かに中計を作成している企業は多くあるものの、これを戦略と混同されている方が非常に多い。私はそんな印象を持っています。

マシュマロ・テストをご存じでしょうか。子どもたちに、いま目の前のマシュマロを食べるか、少し待ってもっとたくさんのマシュマロを手に入れるかという選択肢を提示して、その子たちの追跡調査をするものです。

その結果、目の前の誘惑に負けず、よりよい報酬を得るために待つことができた子どもは、将来成功する可能性が高い。そんな結果が出て、話題となったのです。

企業の中計と戦略にも、これと似た関係があります

社員に対して、上から「向こう3年どうするんだ」と投げかけると、すぐに手を出せそうなもの、すぐに数字を作れそうな施策がどんどん出てきます。目の前の数字を作るために、易きに流れてしまうのです

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