パルコの“嫁入り”先が見つかってよかった 森トラスト社長が語る、パルコ騒動の舞台裏
すると、イオンから「2月1日の定例の経営委員会で決めます」と言ってきた。それで「結構ですよ」と返した。そうしたら、「否決されました」と。イオンが言うには、パルコが反対してきたことが否決された理由らしい。
(イオンとしては)TOBでもないから、反対されるとは思わなかったのだろう。前日の1月31日にパルコに株の買い増しを知らせたようだ。そうしたら反対された。イオンの経営委員会でパルコの反対の意思を報告したら、(株式の追加取得は)否決されたそうだ。
こうして、イオンはパルコの株を買わないことになった。そうなると、ウチはフリーハンド。あくまでもイオンが興味を持っている間はイオン重視のスタンス。ところが、イオンが降りた。
スケジュールを考えると、パルコは2月決算なので、新しい役員を決めるとなると2月上旬が決断のギリギリのタイミングだった。そういうことはもちろんJフロントもご存じ。まず、1月下旬に打診があった。それはもちろん断った。それで2月上旬になって、具体的に買い入れの申し入れがあった。
■流通は商売として荷が重い、これからは異業種を巻き込んだ再編になる
--Jフロントと接触したのは、そのときが初めてですか。
Jフロントに限らず、証券会社から持ちかけられた話はいろいろあった。証券会社は商売だから、われわれと無関係に動いてしまう。ただ、打診があっても断っていた。浦和の店舗に出店したりして、Jフロントはパルコと親しい。それでタイミングよく来られたのではないか。
一時はウチがパルコにTOBをかけるケースも考えた。でも、流通は商売として荷が重い。パイも小さくなるし、消費税も上がるので、これから大変だ。そうなると、コップの中の再編ではなく、異業種も巻き込んだ再編になる。パルコ単独では小さすぎる。イオンなり、Jフロントなりの中に入ったほうがいい。